二十代後半、1ケ月ほど入院していたことがあった。
この時期、入院するといろいろなことを考える。
仕事について、目標について、将来の夢について、愛について、そして自分の人生について。
そのときは結論は、ひとまず人生の目標は幸せになることではないか、ということだった。どうしたら幸せになるかは、退院してから考えることになる。
それから二十年が経った今、まだ幸せについて考えている。
もちろん、少しはわかってきたこともある。
まず健康。
幸せに健康は欠かせない。
向上。
前の自分よりよくなっていることで幸せを実感できることは多い。
「人と比べるのではなく、過去の自分と比べよ」とは、僕の師匠の教えだが、確かに過去の自分より向上、成長していることで人は幸せを実感できる。
貢献。
人の役に立てたときの幸せは大きい。
自分の幸せより相手の幸せを優先するのが幸せな夫婦生活のコツ(別に自分の幸せを犠牲にする必要はない。ただ少し優先させるだけ)、もっと多くの人を幸せにすることが出来たらもっと大きい幸せを感じることができるだろう。
感謝。
どんなに恵まれた環境にいても、感謝がないと幸せは実感できない。
家族。
ゲーテもいっているように、王様であろうと、農民であろうと、自分の家庭で平和を見出す者が、いちばん幸福な人間である。
さて、お気づきかもしれないが、ここまで、「健康」「向上」「貢献」「感謝」「家族」とKでまとめてみた。ところが、幸せに欠かせない次の要素がどうしても、Kにならない。
友人。
朋来る、亦楽しからずや、と孔子がいうように、幸せな人は皆、心許せる友達、仲間を多く持っている。
(あえていえば、交友でKにしてもいいが、ちょっと無理がある。よく考えるとそんなにKにこだわる必要もない)
これに最近、「楽しさ」も大事だな、と思うようになった。
英語の「幸せ」”Happy” は、「楽しい」という意味も持つことだし。
反対に、もう一つわかってきたことは、「楽」「得」をしようとする人は、「幸せ」になりにくいということ。
まだ平均寿命まで30年近くあるので、引き続き研究することにしたい。そして研究するからには。「幸せな人生だった」といって他界したいものである。