人形使いが旅に出る -28ページ目

人形使いが旅に出る

ダークファンタジーライトノベル

 

【Episode.1 祈り】

 

7

 

 

 キリコの住むバルティカ帝国領【ナパ】は

バルティカ帝国とアラム帝国を結ぶ

帝国街道から少し外れている

林業が主な産業の寂れた町である。

 

 そこでマコマとガティアの

新しい生活が始まった。

 

 

 キリコは早くに妻を亡くし

二人の息子たちは、

すでに独り立ちして

他の町へと出て行ってしまった。

それからはずっと一人で

この村で樵(きこり)を

生業として静かに暮らしていた。

 

 そんなキリコは口では

「面倒臭いことになった…」

と愚痴をこぼすが、心の内では

急に家族が増えたように思え、

さらに賑やかになって嬉しく思っていた。

 

 

 

 

 

 ガティアはマコマの面倒を見ながら

とりつかれたように

自動人形(オートマタ)の作成に取り組んだ。

 

 根を詰めすぎというか、あまりにも

焦っているようにみえたので

心配になったキリコは

ある日、作業中のガティアに

訊ねたことがあった。

 

「何をそんなに急いどるんじゃ?」

 

「世話になっている身だが

答えられん、すまん」

 

 キリコの顔も見ず

素っ気ない返事が返ってくるだけだった。

キリコは溜め息をつき

「まあ、別にええんじゃ…

ええけどな…」

独りごちた。

 

 

 

 

 

 

 しばらくマコマは両親が居ないことに

不安がり、よく泣いていたが

その代わりにガティアは

オートマタ作成の傍ら

ずっと、そばに居てやった。

 

 何を言うでもなく、

何をしてやるわけでもなく

ただ、いっしょに居てやり

只々見守っているのだった。

 

 半年も経った頃には、

マコマはキリコとも

たくさん話をするようになった。

 

 マコマの他愛のない話を

一所懸命聞いてやり、目を細めて

相好を崩すキリコ。

 

 突然、自分に孫が出来たようで

マコマが可愛くて仕方ないようだった。

 

 そんなキリコを「やれやれ」

という感じで目を細めるガティア。

 

 

 ある日

マコマが初めて木人形を

目にしたときのこと。

 

「やあっ!なぁに!これぇ?」

 

「わしの使うとる木人形じゃ

こうみえて、じいちゃんは

人形使いじゃからのう

はっはっはっ

そうじゃ、マコにも

作っちゃろうか?」

 

「うんっ!ほしい!ほしい!」

 

 

 

 

 マコマが、その木人形に

いたく興味を示したので

後日、キリコは小さめのよく似た木人形を

作って手渡してやった。

 

但し、キリコの使役している

木人形のように動くことはない。

ただの木人形だったがマコマは大変喜び、

その日からママゴトの相方となった。

 

 

 

 木漏れ日に包まれた庭で

ママゴトをして遊ぶマコマを

眺める2人の老人。

 

 

 

 キリコは、ずっとこんな生活が続く

と思っていた。

 

あの日までは…

 

 

 

 

 

 

 

 

  

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