人形使いが旅に出る -25ページ目

人形使いが旅に出る

ダークファンタジーライトノベル

 

【Episode.1 祈り】

 

10

 

 

 机の残骸と砕けた花瓶が

床に転がっている。

数本の薔薇が床に散らばり

雨風に打たれて花びらが散り散りに

床に貼りつき所々

どす黒い赤に変色していた。

 

微かに

木と木がひしめく合う音がした。

 

キリコはハッと音のする方へ振り向く。

ガティアが愛用していた

ロッキングチェアが揺れていた。

かつてキリコが

ガティアの為に作ってやった物だ。

 

 その先に日除け布を掛けられて

床に横になっているマコマが目に入った。

キリコは胸が締め付けられて

息が出来なくなる。

 

「まさか、マコまで…」

 

キリコは無我夢中でマコマに駆け寄る。

怪我はないように見える。

顔に生気は感じる。

よく見ると掛けられた布が

ゆっくりと上下を繰り返していた。

 

とりあえず安堵したキリコ。

 

よく見るとマコマの横には

正座している木人形があった…

 

 

 

 まるで看病でもしているかのように

マコマの傍に座っていた。

そして不意に、

たどたどしくその木人形は喋りだした。

 

「…モ、モウダイジョ…ブ 

マコ…ダイ…ジョブ

…ヤン…ス ガティア…シンダ…

ザンネン デヤ…ンス」

バランスを崩しながらも

小刻みに身体を動かして

マコマの頭を撫でようとしていた。

 

キリコは驚愕した。

マコマの遊び相手にと

作ってやった木の人形が

勝手に動き出し、

そして喋ったことに。

 

「しゃべりおった…

こやつ、しゃべりおった!」

 

(一体誰が操っているんじゃ?

マコか?

いや、それはあり得ん…

7歳の子供が木人形を操るなんて

聞いたことがない。

だいいち、気を失うとるのに…

  しかし、今はそんなことなど

どうでもええ)

 

キリコは矢継ぎ早に

木人形に質問した。

 

「いったい何があったんじゃ!?

 

ガティアを弔ったのはお前か!?」

 

「……」

木人形は応えない…

小刻みに身体を震わせ

ただキリコを見つめるだけだった…

 

 

 

 

 

 

 

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