人形使いが旅に出る -21ページ目

人形使いが旅に出る

ダークファンタジーライトノベル

 

【Episode.2 そして少女は旅に出る】

 

 

 

 

 町の中央広場に駐留している隊商は

慌ただしく出発の準備に追われていた。

 

中央広場へやって来た

キリコとマコマ、そして足元にはプッペ。

 

荷物を持って

往き来する商人たちの合間を縫って

キリコ達はこの隊商の

隊長の元へ向かった。

 

 

忙しそうに天幕の片付けをしている

商人たちを尻目に

ひとり小さな天幕の中で

片膝をたて

あぐらをかいている小男の老人がいた。

水タバコを吹かし

難しそうな顔をして

一枚の紙切れを睨んでいた。

 

 

 

 

 頭には薄汚れた

白く長い布を

幾重にも巻き

土埃で汚れているが白の

ゆったりとした長袖シャツを着て

ズボンも上着と同じ感じで

やはりゆったりとした

簡素でラフな格好をしている。

 

口髭、というよりは

鼻の穴から生えてきているような

立派な髭、胸まで届く顎髭

すべて真っ白、老人のそれになっていた。

浅黒い肌は皺だらけで

長く豊かな眉毛の

隙間からは猜疑心の強そうな

鋭くずる賢そうな眼が光る。

時折、パイプを2,3回吸い込んでは

空を仰ぐように口を大きく開けて

白い煙をゆっくり吐き出していた。

 

 

彼はマコマとキリコの存在に気付くと

手に持っていた紙切れを

急に握り潰して

二人に鋭い視線を向けた。

 

 

 

下からまとわりつくような視線を

マコマとキリコに向ける。

 

「おはよう隊長さん

先週、話をした例の娘じゃ、この娘を

途中のヘーパイトスまで

同行させてもらいたいんじゃが…」

 

 

 

「………」

ジッと見つめる小男の老人。

沈黙が流れる…

パイプを吸い込み

空を仰ぐように

口を大きく開けると

口ひげの奥から

白い煙が大量に吐き出された。

 

小さな天幕の中に

白い煙と共に

干し草が蒸れたような独特な匂いと

嗅ぎ慣れない香辛料の匂いが混ざり合い

ゆっくりと漂って充満する。

 

「…うっ」

マコマはむせた。

 

「…わしはこの隊を取り仕切っている

クリシュナ・ジャハーン・シンという者だ」

 

「マコマ・レインフォールです

よろしくお願いします!」

 

「…ところで、お前さんは

何が出来る?」

 

「…えっと

プッペ、あ、この木人形のことですけど…

この子を使役してます

一応、人形使いです」

 

「プッペでヤンス」

 

クリシュナはふんっと鼻を鳴らした。

また沈黙が

時を止める。

苦痛だけ流れる。

キリコとマコマ、そしてプッペも

黙ったままクリシュナを見つめる。

「……」

「……」

 

 

 

 

 

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