人形使いが旅に出る -18ページ目

人形使いが旅に出る

ダークファンタジーライトノベル

 

【Episode.2 そして少女は旅に出る】

 

  6

 

 

 

 

荷物を積んだロバや馬たちと

その横を商人たちが付き添い

ゆっくりと中央広場から

街道へ向けて移動を始める。

荷馬車の車輪が軋みをあげ

砂埃を舞いあげながら

町を出て行く。

 

慌ただしく町を出て行く

隊商の後ろ姿を

キリコと彼の木人形は

黙って見つめていた。

 

すると、砂埃の中から

一人の少女が走って現れた。

 

「おおっマコ!」

思わずキリコはマコマを凝視する。

 

現れたマコマは

遠くから叫んだ。

 

「おじいちゃん!行って来るね!

身体気をつけて!

半年後には、また戻ってくるから

それまで元気でねっ!」

 

 

 

 

 

 

キリコに向かって大きく手を振ったかと

思うとまた砂埃の中に消えて行ってしまった。

 

「おおっマコも元気でなっ

気をつけて行っといでって…

聞いとらんし…

てか、もうおらんし…

慌ただしいやつじゃのう、まったく…

プッペ、マコを頼んだぞ…」

ごった返す広場の中で

キリコは、ひとり呟く。

 

 

 

「…なんか

…急に寂しうなったのう」

 

キリコは自分の木人形に視線を向け話しかけた。

黙ったまま見つめる木人形。

 

「……」

 

「…今日からお前の名前は

プークにするか?」

キリコはかつて飼っていた犬の名で

自分の木人形を呼んでみた。

 

木人形は何も応えず

ただキリコを見つめるだけだった…

 

「……なんか言うてくれ

わし、恥ずかしい」

 

キリコとその木人形は

しばらくその場に佇み

遠くに見える隊商の列を

寂しそうに眺めていた。

 

 

 

 

 

隊商の出発準備が整うと

マコマはマチルダの許可をもらって

まだ別れの挨拶を交わしてなかった

キリコの元へ走った。

隊商が進むのとは逆方向に

砂埃が酷く

軽く咳き込み

眼にゴミが入り

少し痛かった。

 

 

隊商がさっきまで駐屯していた

中央広場の人混みの中に

キリコとキリコの木人形の

姿を見つけた。

 

普段よりキリコの姿が小さく

そして寂しそうに見えた。

自然と涙が溢れる。

涙が出て来たのは

砂埃のせいだと自分に言い聞かせた。

 

 

 

(どうせまた帰って来るんだから

挨拶は短めでいい

言葉を交わすと

涙が止まらなくなる…)

 

キリコに涙を悟られたくなかった。

 

マコマは遠目から

できる限り大声で

必要なことだけを伝え

足早に踵を返した。

 

涙が溢れて止まらなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

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