2023/8/7
生命保険には「保障」に「貯蓄」をプラスしたものがあります。
一見して、両方の機能が備わっているのは優れた商品に思えますが、実際に金融商品の預金と比べてみると、そうでもない面が見えてきます。
例えば、30歳の男性が、毎月の保険料4.3万円、10年満期、死亡保険金500万円の養老保険(T保険会社)に加入したとします。
契約の手続きが終われば、1年後に死亡したとしても500万円の死亡保険金が支払われます(保障機能)し、何もなく満期を迎えた場合には、満期金の500万円が受け取れます(貯蓄機能)。
しかしながら、預金には当然保障機能がありませんし、同じ4.3万円を毎月貯めても、1年後では50万円程度にしかなっていません。
保険の必要性と優越性はここにあります。
いつ不測の事態が起きたとしても、経済的リスクに対して十分な保障するのが保険の役割でもあります。
ただし、保険の場合は、満期前の早期に解約してしまうと、解約返戻率が低い(80%~90%)ため、払い込んだ保険料がそのまま返ってこずに減ってしまう(元本割れ)ため、満期までの10年間は資金を動かすことができません。
そのため、現在のような低金利で10年間も固定してしまうと、金利が上昇局面になった時にかなり不利になります。
さらに、もし返戻率の低い養老保険だった場合です。
いくら養老保険が貯蓄性の高い保険とはいえ死亡保障が付いているため、毎月4.3万円を10年間納めた場合の払込保険料の総額が516万円になるのに対し、受け取れる満期保険金は500万円しかなく、16万円が減ることになります。
要するに、10年分の死亡保障料が16万円ということです。Hey動画
ただ、掛け捨てではないため、500万円は残ります。
しかしながら、500万円の死亡保障が欲しいなら、30歳の男性であれば、月額769円の掛け捨て保険もあります。
この保険に10年間加入した場合の保険料の総額は9.2万円です。
ということは、養老保険の10年間の保障料が16万円に比べると、7万円も得することになります。
さらに、養老保険に投資する分の500万円を普通預金(金利0.2%)に入れておけば、利息が1年で1万円、10年で10万円になります。
結果的には、養老保険の場合は516万円の投資に対する10年間の成果が、「500万円の現金と10年間の死亡保障」となり、掛け捨て保険+普通預金の場合は509万円の投資に対して、「510万円の現金と10年間の死亡保障」になります。
この内容から、保障+貯蓄の生命保険は、保障の点では保険料が高いという欠点があり、貯蓄の点では利息が目減りするという欠点があります。
現在は限りなく0に近い金利になっています。
もし貯蓄のことを重視するなら、このような時に10年も20年も資金を寝かせるような貯蓄は得策とは言えません。
また、現在はデフレでもあるため、インフレになればお金の価値は下がります。
今後、インフレにならないとは言い切れません。
なお、保険というのは本来、安心を得るためのものであり、お金を稼ぐものではありません。
その点では、掛け捨てが基本だと思います。
お金を貯めるなら、預金なり投資なりも検討しましょう。