以前、巡回訪問の際に、巡回監督代理の兄弟が来ました。

年齢は僕より少し歳上ぐらい。隣の県にお住まいです。

この兄弟、地元が近いのもあって若い時から知ってる人で。サッカーめちゃくちゃ上手いことで有名だったんですよ。
向こうは僕みたいなサッカー雑魚は覚えてないはずですが、僕は鮮烈に覚えていました。JWなのに、プロ並みに上手い。本当に集会行ってるのか?みたいな疑問もでてくるぐらい。
かなり印象に残る出会いでした。

そんな兄弟が、結婚して巡回監督として来てくれたことが僕は個人的に嬉しくて。
その一週間はできることは全部しようと思いました。

宿舎は弟夫婦の家だったので、親族の特権で夜に遊びに行き、風呂上がりの監督とビール飲んだり。

会衆の若い男女を夕方の公園に集めて、みんなで監督とサッカーしたり。監督はスパイクなんて宿舎に持ってきてるわけないので、その時のサッカー用品一式は僕が貸してあげました。フランス代表のシャツ。僕はカメルーン代表のシャツ。
夜、真っ暗になるまで大人も子供も一緒になって遊ぶことができて、とても素敵な思い出が作れました。


僕の研究司会にも参加していただき。
それまで何人か巡回監督には研究参加をお願いしてたのですが、研究中に寝てる奴もいれば、仏頂面でなんにも話さないでただただ緊張感だけ与えてくるヤツとかもいて、リスペクトできないヤツらもいっぱいいましたが、この兄弟は別でした。前のめりで討議に参加してくださり、一緒にディスカッションしたり、理解してくれた研究生と一緒に喜んでくれたり、本当に素晴らしい兄弟でした。兄貴として慕いたい、本気でそう思わせてくれる存在でした。

そんな研究参加の時に、ある事件が起きます。
その日は朝から雨が降っており、傘を持ってみんな活動してました。昼前には止んでおり、傘はさしてなかったですが、持ち歩いてる状態。監督も、傘を持って僕の研究生の家まで来てくれました。

ところが、研究終わって帰るタイミングで、傘が無いことに気が付きます。確かに持ってきてるのは僕も確認しています。しかもその傘、ちょっとお高いブランド物で、会衆の姉妹から頂いた大切なものだ、とのこと。

僕の研究司会に参加していただいたばっかりに大切なものを失くされてしまったことにどことなく責任を感じてしまい、翌日、記憶を頼りに同じ傘をデパートまで探しに行きました。
なんとなく同じようなデザインを発見。もし違っても、それはそれで。ぐらいの気持ちで監督に傘をプレゼントできたのでした。

その傘は失くした物と全く同じデザインだったらしく。ほっとしたことを覚えています。


訪問最終日。最後の奉仕の話を終え、監督は一週間お世話になった会衆の皆様のためにと、演壇の上で深々と頭を下げておられました。これまでそんな巡回監督を見たことが無かったので、この光景はある意味衝撃的でした。

兄貴として尊敬できましたし、兄貴のために自分ができることは精一杯できたと思えた、素敵な一週間でした。


梅雨時、傘を見るとたまにそんなことを思い出します。

兄貴、元気かな。