金環日食を見逃してしまったあなた

次に日本で見れるチャンスは、

18年後の北海道ということらしいですが、

それをどうしてもみたいとなると、

その時間は、短いですか、長いですか?

今回のお話は、それより長い20年という時間が

当時の子供達が見ていました「快獣ブースカ」にあったので

す。

怪獣ではなく、快いという字の快獣は、円谷プロが

特撮コメディ路線として、製作した子供向け番組です。

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物語は、発明が好きな少年である屯田大作の飼っていたイグ

アナを300倍の大きさにしようとしたが失敗し、誕生したの

が大きさ30倍の性格温厚で愉快な生き物ブースカと子供達の

珍騒動を描いたものになってます。

「バラサ、バラサ」 「シオシオノのパー」など名文句もあ

りました。


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海外の作品と違って、子供番組とはいえ、ちゃんと最終回が

あります。

当時は、続編という概念が無かったのでしょう

主人公がいなくなってしまうという悲しい最終回というのも

多かったでした。

最終回だけは見なくっちゃという子供は多かったのもうなず

けます。

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人類の未来救済で、

10光年先の地球とよく似たR星に向かうため

自らロケットに乗り込むカミナリ博士だったが

打ち上げの失敗も今回で52回目となった。

見ていた子供達も がっかりする。

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いつもの様にみんなで楽しく遊ぶブースカ達

そこへ失敗したカミナリ博士と出くわし

一緒に博士の研究所に行く。

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  カミナリ博士研究所

研究所では、日本政府から

これ以上の打ち上げは中止を宣告されるが、

ここで子供達は

40年後の地球の状態と

R星にはウラニウムより1000倍強力なZエネルギーの資源が

あることを聞かされる。

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Zエネルギーで人工太陽が出来るので、地底都市が出来る。

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海底都市も造ることが出来る。

Zエネルギーの必要性に驚く子供達

強力なエネルギーがないとロケットが飛ばないことがわか

り、ブースカの持っているブースカニウムで

ブースカエネルギーとして実現可能なことが判明する。

このエネルギーならR星まで10日。往復でも20日でいける。

しかし、

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エネルギーは得ても、パイロットがいないことを苦悩する博

士。

高速ロケットに人間が耐えられる様に訓練するのは3年も掛

ってしまう。

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そこで、ブースカが適任とされる。

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早速30分のテスト飛行が行われる。

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  ロケットのテスト飛行

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テストは順調に行くかと思われた

30分のテスト飛行を終えて帰還すると

地球では7日が経過していた。


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   計算する大ちゃん

1日が地球の約1年として、10光年をR星まで10年。

往復で20年。間違いない20年掛る。

大作 「20年もブースカと分かれられるもんか!

    宇宙旅行なんて、やめだやめだ!」

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急いでブースカに話そうとする大ちゃん

大作 「ブースカ!宇宙旅行に行っちゃいけない。

    ブースカ、チャメゴン、僕と家に帰るんだ!」

パチッ。と博士にスイッチを切られてしまう。

博士 「ブースカには聞かさん方がいい」

大作 「でも博士、どうして宇宙ロケットの30分が地球上の

    1週間になるんでしょう」

博士 「それが宇宙の謎なんだよ。

    宇宙の1日は地球の1年に相当する」

大作 「もし、ブースカが20日で戻ってきても、その頃僕た

    ちは?」

博士 「もう立派な大人。ワシなどはそれまでは生きている

    かどうか・・・」

大作 「いやだ!そんなにブースカと別れるなんていやだ」

博士 「これが宇宙の法則なんだよ」

大作 「そんな宇宙なんて行かなくていい!」

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博士 「今、ブースカやチャメゴンの他に誰が行ける?

   R星の資源さえ手に入れば、地上のあらゆる人たちが

   幸せになれる。

   自分達の地球を豊かにしたいとは思わないのか。

   ブースカ達はそれが出来るんだ。」

博士 「出発はあさってだから、

    あしたはゆっくりお別れするんだな」

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 大作 「・・・・・」

翌日、いつもと変わらぬピクニック。

楽しんでるみんなを見て

みんな、もう20年も会えなくなっちゃうんだぞ・・・

その事を知っているのは大作だけであった。

ひとり泣いている大ちゃんがそこにいた。


その夜、ブースカに会えなくなる寂しさから

寝られない大ちゃんは

ブースカを起こし、虫取りを行う。

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ここで取った虫はR星にもって行く事に。

そして、帰ってきたら虫の音楽会をする約束をする。

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  あれがR星かな・・・



そして、打ち上げ当日

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ロケットはブースカを乗せてR星に向かう

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 ブースカは何も知らない

大ちゃんは、悲しみをこらえて

心の中でブースカに別れを言う。

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大作 「行って来いブースカ!

    お前が今度帰る日は、僕たちも立派な大人だ。

    この地球で僕たちは戦争をしない。

    誰とでも仲良くして

    助け合える平和ですばらしい星にするのだ!」

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 楽しかった日々が蘇る

大作 「ブースカ、お前の行く手には新しい時代が待ってい

    る。それは僕たちの時代だ。先に行けブースカ!」

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     さようなら、さようなら、ブースカ!





●テレビを見ていた子供達は、突然の別れに

ガッカリしたり、泣いたりした子供も多かったことでしょう。

ブースカは放映当時、大人気で放送延長され全47話まで作ら

れたんです。

最終回ではブースカが帰還する大ちゃんの描いた回想があり

ます。

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20年の月日が経過してしまった地球。

すっかり変わってしまった子供達。浦島太郎と同じです。

ブースカは、大ちゃんと思って声を掛けると

それは大ちゃんの子供 小作でした。

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博士に言われます

こうして素晴らしくなったのも、あの時ブースカを独り占め

しなかったからなんだよ。


この作品では、ブースカが宇宙に行くがどうかの最終決定は

大ちゃんの意思に任されています。

あなたが大ちゃんなら、どうしますか?

自ら選ぶ事は、大人になるという事が込められていたと感じ

ます。

作品データ 快獣ブースカ第47話「さようならブースカ」
        放映日 1967年9月27日
        監 督 : 野長瀬三摩地
        脚 本 : 市川森一/上原正三






◆さて、ブースカを愛してるファンは、

20年後の1987年にブースカが、帰ってくるのを

信じておりました。

しかし、ブースカは帰って来なかったのです。

ずっと心に忘れないでいたファンをガッカリさせるものでし

た。



さらに月日は流れ・・・



当時この番組を見ていた世代が

大きくなり、それなりの地位につき始めたのでしょう。

ブースカが旅立って30年後の1997年に

NHK衛星第2でこんな番組が作られました。



ブースカの声優、高橋和枝さんが 当時そのままでしたので、

感動ものでした。(正直、間に合って良かったでした!)

この話の中で、現在の子供達に遊ぼうっていうブースカがい

ます。しかし、昔の遊びしか知らないブースカは 遊んでもら

えません。

子供の遊びもこんなにもかわってしまったのです。

これを見ると時代の変化が強く感じ取れます。

ブースカが知っている子供本来の姿は、もうありません。

ブースカは宇宙へ行って幸せだったのでしょうか?

また、ブースカは、大好きな大ちゃんを探すのですが、会え

ません。

個人的には会わせてあげたかったですね。

30年も経つと当時のキャストの所在すら分からないのでしょ

う。会えたのがチョロ吉だけですから・・・さみしい。

子役ですから尚更分からないんでしょうね。

そして、物語は大ちゃんから手紙が届きます。

「どうしても都合が付かず、行く事が出来ません」と書かれ

ていました。

大ちゃんに会えないブースカは悲しみますが、

自分とみんなの状況がわかったブースカは、

今度、大ちゃんに会えたら、

「大ちゃんの子供と遊びたいなぁ」と呟きます。

うぅ、なんと悲しいことでしょう。

取り残されてしまったブースカ。可哀相過ぎます。


この話の最後には、当時の大ちゃんの別れの言葉が出ますの

で、もう一度聞いて見てください。

あれだけ年月が経っているのに

現在は、その言葉通りの未来になっているのでしょうか?

実現出来ているのでしょうか?

最終回を受け止めて、実現された未来なのでしょうか?

立派な大人なのだろうか?

ブースカの顔をもう一度見る必要があるでしょう。

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果たして我々は、ブースカに恥じない未来を

築いているのだろうか・・・・








◆おまけ

 なんと、

 20年後にブースカと大ちゃんが再会していたのです!

 それは、ささやかに

 円谷プロファンクラブ会報だけでの企画でした。

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 当時の大ちゃんとブースカ

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 20年後の大ちゃんとブースカ

会誌インタビューから

編集部 もし、ブースカがリメイクされるとしたら、

    もう一度、今度は成長した大作を演じてみるお考え

    はありますか?

大作 「差し支えなければやってみたいとは思いますが、

    中々実情がね、難しいでしょうしね。

    ただ一個人としては、ブースカが帰って来て、テレ

    ビで新しい番組が始まって欲しいとは思います。」



1999年にブースカが大ちゃんの子供と遊ぶ「ブースカ!ブー

スカ!」が放映されるが大作役は、別の俳優さんでした。

また、この物語は、新たにブースカを誕生させているので、

ブースカは2代目となり、20年後の言及も無いので、正当な

続編とは言いがたい。

ブースカ声優の高橋和枝さんもこの作品の半年前にこの世を

去ってしまった。

脚本家の市川森一さんも先日、お亡くなりになりました。

その市川森一さんの自宅での最終回についてのインタビュー

がありましたのでご紹介致します。

最終回でブースカを宇宙の彼方へ行かせたんですけど、

あそこでは視聴者の子供達に、大作少年が大人になった時に

ブースカが帰ってくると約束をしたわけです。

ブースカが去って行くということは、大作が大人になるとい

うことです。

大作の心にブースカ的なものがあるということは、

少年が少年の心をもって生きていくということです。

しかし、世間に乗り出していくときに、丁度 僕が父から漫画

を取り上げられたように、何かを失っていくんです。失って

くものは童心だったりメルヘンチックな思いだったり、

無限な夢だったりするわけです。

多分この世に存在していないもの、でも皆が夢に見ているも

のとの決別が、ブースカとの決別なんですよ。

僕自身、小学生の時分に憧れていた「ピノキオ」や「白雪姫

」の世界が「ブースカ」を書くことによって心の中にもう一

度蘇ってきたということがあります。

少年期、少女期は人生の神話的な時期です。その頃に夢見て

いたことを忘れずに時々思い出すというのは 人生において

そう無意味なことではありません。

去って行く夢の側からの、いつかもう一回戻ってくるという

メッセージは、大人になったときに失ったものの大事さが解

る、あるいは大人になったときに

もう一度 思い出してくれということでもあるんですよね。

思い出すことが 戻ってくるということなんですから。

それは、少し前に大人になった者からの、当時のテレビを観

ている少年への呼びかけだったんです。

あのメッセージに関しては後悔していませんよ。(1993)


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いつの日にかブースカが復活し

新しい子供達にも夢を与える日が来ますように。。。




ブースカはウルトラシリーズではありませんが、

製作時期などから、外せないものとし同等とさせて頂きまし

た。

長々とお読み下さった方にお礼申し上げます。

バラサ、バラサ!


               


              また、いつかどこかで。