ミキ(我が家のネコ)の散歩のために、庭に出たところ、1匹のスズメバチが飛び回っていました。

 

 危ないなあ、と思いながらも刺激しないように佇んでいたら、そのスズメバチが軒下に留まりました。

 

 それを見て、僕は困惑してしまいました。彼女は、これから巣を作るつもりだったのでしょうか、細いラッパのような巣の根本部分をせっせと作っているようでした。

 

 さすがに困りました。

 

 実は数年前、アシナガバチが、我が家のガレージの、ちょうど車の真上に巣を作ったことがありました。完全に盲点になっていて、けっこう大きくなるまで気がつかなかったのです。ただ、気がついた後も、刺激しないなら大丈夫だろう、と、そのままにしていたのです。

 ところがそうこうしているうちに、ヒマワリの花程度にまで巣が大きくなり、蜂たちも近所まで「遠征」し始めてしまったのです。

 

 程なくして、お隣から「お宅のガレージの上に蜂の巣ができているのですが、お気づきですか? 蜂が我が家の庭にまで飛んできて困っています。駆除していただけませんか」と言われてしまいました。

 

 こんなことなら、まだ巣が小さいうちに駆除すべきだったと後悔しましたが、後の祭りです。

 

 バズーカタイプの蜂の巣駆除用の殺虫剤で、一気に蜂たちを駆除してしまいました。巣の中には多くの幼虫もいて、心が痛みましたが、蜂たちのファミリーよりもご近所付き合いという人間のエゴを優先した僕に心を痛める資格があったのか、わかりません。

 

 そんな後悔もありましたし、今回は結構大きなスズメバチが一匹でしたので、今のうちにどうにかしようと決心しました。

 

 それで、彼女が作りかけの巣から離れて食事に出たすきに、根本部分だけの巣を手でもぎ取りました。

 それで、僕がどうしてスズメバチを「彼女」と呼んでいたかというと、もぎ取ったラッパ状の巣の奥に、卵が産み付けられていたからです。致し方ないこととはいえ、なんともいえない気持ちになりました。

 

 しばらくして戻ってきた彼女は、あるはずの巣がなくなっていて、とても困惑した様子で、しばらく周囲を激しく飛び回った後、諦めたのか、どこかに飛んで行きました。

 

 願わくば、人間のエゴの届かない場所を見つけて暮らしてもらいたいと思います。(これも人間のエゴでしょうね。)