アメリカのバイデン大統領が大統領選からの撤退を表明した時と比べて,ずいぶん違うな,と感じた。

 

 この度の岸田首相の自民党総裁選不出馬表明である。

 

 何が一番違うかと言われたら,悪い意味で「国民が巻き込まれていない」ということになるだろう。

 

 バイデン大統領の健康不安からトランプ氏の暗殺未遂事件を経て,アメリカ大統領選挙は「ほぼトラ」とまで言われるくらいにトランプ氏が勢いを持っていたが,バイデン大統領の大統領選撤退表明と,その後の後継者選びで一気にハリス副大統領がトランプ氏を凌ぐ勢いを持つようになり,アメリカの大統領選挙は予断を許さない展開になっている。

 

 対して,岸田首相の自民党総裁選不出馬表明,つまり事実上の退陣表明は,国民の声を受けてというより,自民党内の都合,としか思えないようなものだ。近く実施されることが予想される衆議院選挙を睨み,自民党が「勝てる体制」になるためのもので,そこに国民への目線が全く感じられない。

 

 アメリカは大統領選により国民が『分断』される事が危惧されているが,それでも,そのように国民が政治に「巻き込まれている」方が,民主主義としては健全に思える。

 

 日本の与党も野党も,次の衆議院選挙の時には,国民を巻き込めるような選挙戦を行なってもらいたい。