中2のある夏の夕方。

隣の家から突然、兄弟ゲンカの怒鳴り声とドタバタの激しい物音が勃発した。

 

『あら~珍しいわね~。お隣さん、取っ組み合いが始まったんじゃない~』

 

母がゆる~い感じで言いお茶をすすった。

 

「んだ、んだ、んだね。。。なんかやってるね。。。」

 

すぐに終わると思われたそのケンカは時間と共に段々とヒートアップしてきた。

すると、突然、女性の声でその兄弟ゲンカを諫める声がしてきた。

窓全開だったのでモロに聞こえてくるお隣さんの騒動に家族全員が聞き耳を立てる。

母の姿が消えていたことには誰も気付いていなかった

 

『ちょっとーー!!

あんた達!何やってんのぉー!

バガだごどー!いづまでもいづまでも!

見なさい!

おばあちゃんが泣いでっぺーー!

お母さんも泣がせでぇー!バカたれがー!

ほらほら離れで!離れで!

離れなさいって!』

 

「あれ❔あの声!お母さんじゃない❔!」

 

「んだー!んだよ、んだんだ、お母さんだーー!」

 

慌てて隣に行くと母が仁王立ちで部屋の中央に立ってにらみを利かせていた。

兄弟は取っ組み合いのまま黙ってうちのお母さんを見上げている。

そりゃそうだよ。

家にいきなり隣のオバちゃんがサンダル履きのまま土足で上がってきてカミナリ落としたんだからびっくりもするわなぁ~⚡⚡⚡

しかもハエ叩き持って。。。もしかしてそれで成敗しようとしてたの(・・?

 

兄弟とはいっても子供ではない。

取っ組み合いのケンカをしていた兄は警察官で、弟は自衛隊員とゆ~立派なご職業のマッチョなガタイのオトナ男子達です。

 

『まんつ、はぁ~、なしてこんたなごどになってしまったのす~

母さん泣がせで、バガだごどぉ二人とも!

おめさん達が暴れたらこの家壊れっぺっちゃ~

暴れんだば、ほれ、外でやんなさい!

ほれほれ外さ出で』(母は興奮するとめっちゃナマル)

 

え?!お母さん、止めに来たんじゃないのー?

 

ハエ叩きでお尻をペチペチされ、すっかりシラケムードになってしまった二人のマッチョ兄弟はバツの悪い顔をしたままペコペコ頭を下げていた。

 

その後、隣のおばあちゃんとお母さんを連れてきて夕飯を食べさせてからみんなでテレビを見ていると、兄弟達が迎えに来た。

 

マッチョ:『あの~、終わりましたんで。。。どうもすみませんでした。』

 

母:『ちゃんと拭いたの?片付けるだけじゃだめだよ。土足で上がったんだから雑巾できちっと拭いたら迎え においで』

 

マッチョ:『拭きました。。。』

 

母:『ん、ならいい。もうケンカしないんだよ。おばちゃん、また飛んでくからね。ほんならさ、うちに入ってご飯食べでって~おいなりさんいっぱいこさえたから食べな食べな』

 

 

※これはお昼のおいなりさん🎶

 

 

大の大人をバカバカと連呼し、一大事の時には躊躇なく土足で他人の家に駆け付ける漢気のある母の熱さが懐かしい夕暮れ時。

 

この母のDNAをモロに引き継いだと思われる私の重大事件がすぐにそこに迫っていようとはこの時はまだ微塵も思っていなかった。

 

しかしこの時の母親の姿を見ていたから『助かった』と思はざるを得ない事件が起こるのだ。

 

つづく