宮古に住んでた4年間近所のお寺さんでお習字を習っていた

墨を磨る音、その香り、適度な緊張感、和尚様の筆さばきにハマり日曜日を待ち焦がれた

本堂で長机に5~6人くらいの児童が座って和尚様から手ほどきを受けていた

和尚様の筆さばきの中で一番好きだったのは最後に紙から筆を離す瞬間だ

勢いよく書き進んでいても最後は優しく、若干もと来た墨の道を戻り気味に筆を離す

ミルクを飲んでる赤ちゃんの上唇の真ん中のようにポチョンとした雰囲気の文字を書いてくれるのだ

あんなに優しい書を表現できるのは後にも先にも和尚さんしか知らない

 

手習いが終わると次の間でお菓子を食べながらまあるく座ってお話を頂く

実はその時間が一番好きだった♪

 

夕べな~ぁ~、そこのふすまがスーッと開いてな~ぁ~、女の人が入ってきたんじゃ

(始まった♪始まった♪)

ほれ、そこのさ~ぁ~、その座布団に座ってな

(指を差された子供は座布団から飛びのける)

お茶ッコとお菓子を食べたらまたスーッと立って出て行ったんじゃ

おんや?座布団を見ても変わりないから幽霊じゃあなかったんだなぁ~

(つ~!なーんだ!つ~和尚様―!びっくりすっぺえ~え~)

でもな~ぁ~、朝見たっけば、やっぱり座布団の上さえ~ぇ~アメッコが転がっててや~ぁ~

その座布団もジットリと濡れとったんじゃえ~ぇ~フォッフォッフォッ♪

ホントかウソか分からない和尚様の幽霊奇談である

 

その後はいつも蜂の巣をつついたような騒ぎになり和尚様の奥様の登場となりお開きとあいなる

ツルツル頭の和尚様♪

みんな和尚様のお話に夢中でみんな和尚様が大好きでしたよ★

 

宮古弁を話すと自然に語尾が流れて歌を歌っているような感じになる

イントネーションに聞き心地の好い波があり、まるでラップのような乗りなのだ

あの独特の習字の筆さばきはまだ練習中である(笑)