乳がんと言われて…
全く、心当たりがなかったわけではありません。
疑いのある右胸は、長男の時、ひどい乳腺炎になった方のおっぱいで、治療後も、詰まりやすかった。
それから5年後次男が卒乳して1年ほどたった頃、右胸の乳腺炎になったところにしこりがある事に気がついたんです。
とても不安だった。
その年の、市の健康診断の、乳がん検診を受ける決心をし、緊張の中、初めての集団検診に行ったんです。
周りは、私の母親世代以上の方が多い中、1人若い私が浮いてるように感じました。
心を決めて、いざっ!
しかし…その当時、32才だった私がその日受けれたのは、問診と触診のみ。
マンモは40才を超えてから…と言われました。
しこりがあるような気がする…その事を医師に伝えたのですが…医師の回答は…残乳だと思うから、気にしなくていい。
そう言ったのです…
私も安心して、このしこりは、おっぱいの残りが固まったもので、いずれ、身体に吸収されるんだ!
そう思ったし、無理やり、そう思い込んだのです。
その2年後、娘を授かりました。
妊娠中のある時、右胸からおっぱいのようなへんな汁が出てきました。
不思議に思いましたが、ネットを、調べると、妊娠するとホルモンの関係で産む前でもおっぱいが出る事もある。と言う記事に出会い、妊娠したからか…と納得していました。
今思うと…
私は、最初にしこりを見つけたあの時に、すでに乳がんだったのかもしれません。
乳がんと言われ、数日後、産婦人科を退院して、紹介状を持って、別の総合病院の外科を受診しました。
乳がんで間違いないでしょう…
そして、骨や肝臓にも転移が見られる…
私は、…癌の私のお腹にいた娘は大丈夫なのか?
頭の中が真っ白になって、医師の話も半分以上覚えていない…
そんな状態でしたが…その事だけはずっと不安と恐怖を、感じながら過ごしていたので…聞かずにはいられなかった。
先生はびっくりしたように、そんなの全然大丈夫だから、心配しなくていいと、言ってくれました。
その時、ちゃんと理由も説明してくれた気もするけど、頭の中が真っ白な私の記憶には残ってません…
その日は、医療用麻薬と言われる強い痛み止めが処方されました。
でも、これを飲みはじめたら、おっぱいは、あげちゃだめ。
おっぱいから赤ちゃんにお薬が行っちゃうから…
そう言われて家に帰ると、
娘は気持ちよさように眠っていました。
最後に一回…授乳をしたかった…
先生と約束した薬を飲む時間が迫ってきていた。
それでも娘は起きる事なくスヤスヤ眠ってる…
私は、娘の寝顔を見ながら、泣きながら、搾乳した…
これが私があげられる最後のおっぱい。
薬を飲んだ、数分後に娘は起きた…
さっき絞ったおっぱいを哺乳瓶で飲ませた…最後のおっぱい…
そして、もう二度と授乳出来ないと思うと涙が止まらなかった…