「泣かないで。」

(それが君の哀しさなら、分かち合うから。)

(それが君の苦しさなら、背負うから。)

(それが君の嬉しさなら、一緒に笑うから。)


自分勝手だとか驕りだとか。

全部解かった上で口にするんだ。


とか、解かった様な口を利いた。


君を慰めるための、その実、泣き止ませるための言葉を吐いた僕を見上げる君の眼差し。

その瞳には、酷く苦い顔をした僕が映ってるんだろう。


己の醜さを知った、僕の滲んだ視界では捉えられなかったけど。

慰めた本人が泣いていたんじゃ世話が無い。

まったく。


泣きじゃくる僕に気付いた君は、それまで以上に泣き叫ぶ。

2人分の泣き声が、少しの間響いていた。


「・・・泣かないで。」

心なしか落ち着いてきた頃、言った君はまだ泣いていたけど、それでも、いや、だから伝わった。


その涙は初めから、君の優しさだったんだ。


「・・・一緒に泣くから。」

そう言って、君は泣き笑いした。