中国国民一人一人は、日本に生きる私たちと同じ人間であり、そして中国という国は、大変歴史も古い偉大な国でありますが、しかし中国政府には、やはり問題があると言わざるをえません。

 なぜならかつてアメリカという国が、今よりも遥かに傲慢であったように、この見せ掛けの平和が続く時代において、中国政府は未だに、「中華思想」、「マルクス思想」、そして「毛沢東思想」という、三つの思想的な病にかかったままだからです。

 中華思想とは、東夷(とうい)、西戎(せいじゅう)、北狄(ほくてき)、南蛮(なんばん)といって、つまり「中国からみて東に位置する日本も、朝鮮半島も、琉球(かつての沖縄のこと)も、台湾も、西のチベットやウイグルや西アジアも、北のモンゴルなども、南の東南アジアも、これらに住んでいる民族は全て劣等民族であり、漢民族こそが最も優れた民族であり、中国こそが文化の中心の華咲く地である」と考える思想です。

 この中華思想は、原則として中国以外は「国」として認めません。

 中国に「国」として認めてもらうためには、「朝貢(ちょうこう)」といって中国に頭を下げなければならないのです。

 そして中国に頭を下げて、「家来にして下さい」と頼みこみ、朝貢することによって、「冊封体制(さくほうたいせい)」という枠の中に入り、ようやく中国の属国となれるのです。

 日本は卑弥呼(ひみこ)の時代に朝貢(ちょうこう)して、冊封体制(さくほうたいせい)に入って、中国の属国となりました。

 そして聖徳太子の時代に、対等な外交を行うことによって、東アジアで唯一日本は、冊封体制から抜け出して独立国家になったのです。

 しかしチベットやウイグルなどの国は、明確には冊封体制から抜け出すことができないばかりか、中国に侵攻されて、完全に中国に支配されてしまいました。

 そして日本も今、再び冊封体制の中に組み込まれようとしているわけです。

 この中華思想があるために、隣国は今でも「中華人民共和国」と名乗っています。