では「シーレーンが封鎖されて、米軍が日本から追い出されたら、日本と中国の間で、戦争が起こるのか?」と言えば、もちろんその可能性もゼロとは言えませんが、しかし国際社会の風当たりもありますから、「戦わずして勝つ」という中国の戦争思想にならって、別の方法で日本を侵略してくる可能性の方が、やはり高いと言えるでしょう。

 考えられる方法としては、中国は「シーレーン」という強い外交のカードを握ったら、まず「歴史問題」という外交のカードと合わせて切ってきて、そして核兵器などの軍事力を背景に、日本をさらに脅してくることでしょう。

 つまり日本が中国にシーレーンを封鎖されて、中国側に頭を下げたのならば、中国は次のように主張してくることでしょう。

「日本はかつて、中国や朝鮮半島といった東アジアの平和を、いちじるしく乱した悪い国であり、そして日本は東アジアの一員なのだから、これからの平和な未来に向けて、日本には東アジアの平和に貢献する義務がある。
 だから日本が、アメリカの核の傘の中にいつまでも入っているのは間違いであり、日本は中国の核の傘の中に入って、東アジアの平和に貢献するべきである」

 などと、中国は何とももっともらしい理由をつけて、軍事力を背景に日本をこれまで以上に脅してくることでしょう。

 そしてこうした中国の主張に、すでに中国の工作活動に落ちている無知な日本の政治家、官僚、マスコミが乗っかる可能性は、極めて高いと言えます。

 すると日本は中国に対して、「核の傘」という、さらに強い外交のカードを握られてしまうわけです。

 もしも日本が、「米軍」という後ろ盾を失って、そして「歴史問題」、「シーレーン」、「核の傘」という、まるでポーカーのロイヤルストレートフラッシュのような組み合わせの外交のカードを、中国に握られてしまえば、日本はチベットやウイグルのように国としては消滅して、中国の一つの「自治区」となり、一つの「省」となっていくことでしょう。

 ですから北海道の西にある北方領土も、日本の領土であるにも関わらず、未だにロシアの領土となったままですが、しかし尖閣諸島は北方領土とは異なり、日本にとってとても重要な島なのです。

 尖閣諸島は小さな無人島ですが、しかしオセロで言えば四隅みたいなものであり、もしもこの小さな無人島が中国に支配されたら、やがては沖縄が中国の領土になってしまい、そして沖縄が中国化したら、日本は「シーレーン」を中国に奪われることで、やがては日本そのものが、チベットやウイグルのように滅びていくのです。

 そして日本が中国によって滅びた時、中国の暴走を止めるものは何も無くなり、さらに暴走は激しさを増して、東アジアのみならず、東南アジア、やがてはオセアニアまで、中国は侵略の刃を伸ばしていくことでしょう。

 実際にオーストラリアには、すでに大勢の漢人たちが移り住み、そしてオーストラリアは外国人参政権を認めてしまったために、政界にも中国人たちが口を挟み始めて混乱しています。

 ですから中国によって尖閣諸島に対する領海侵犯が、日に日に大胆になっているということは、中国による日本侵略、そしてアジア、オセアニアへの世界侵略が、日に日に大胆になっている、ということでもあるのです。