さて、様々なことを述べてきましたが、日本国民に残された道は、大きくわけて三つです。

 一つは、ウイグルやチベットのように滅ぼされて、中国語を覚えて、自由を失いながらも、ひっそりと生きていくいか。

 一つは、外国に亡命して、日本人であることを捨てて、他の国で祖国を懐かしみながら生きていくか。

 それともう一つは、失われし大和魂を取り戻し、何としてでも自分が生まれ育った国を護り抜き、そして再びアジアやオセアニアやアフリカの同胞たちを、この中国侵略の危機から救うために、情報戦争の一人の戦士として、他の日本国民をも大和魂に目覚めさせて、共に戦う同志や仲間を集っていくか。

 なぜなら一人で手斧の持って、森を切り開いて、孤独に山道を突き進んで行くことは、確かにそれもそれで尊いことですが、しかし一人では山そのものを変えることもできなければ、山を動かすこともできないからです。

 これと同様に、日本を護り抜くために、孤独を恐れずに一人で突き進んでいくことも、確かにそれは尊いことですが、しかしそれでは日本を変えることもできなければ、日本を動かすこともできないために、中国の侵略から日本を護り抜くこともできないことでしょう。

 ですからやはり、今の日本には、一人、二人、そして十人、百人、あるいは千人、万人と、さらには日本国民が一丸となって大和魂に目覚めて、日本を護ろうとする志士、あるいは国士、さらには侠気(おとこぎ)ある兵(つわもの)が、次第に増えていくことが求められています。

 それはすなわち、大和魂を失ってしまった日本国民の魂の洗濯です。

 「今こそ日本は、失われた七十年の月日を取り戻し、そしてさらなる進歩を遂げて、今一度、日本は、『日(ひ)出(い)ずる処の天子、日(ひ)没(ぼっ)する処の天子へ』という態度を、二つの大国に対して取る気概を持つべきである」ということを述べましたが、この言うに易く行うに難いことを、日本が行っていくためには、日本国民の心の洗濯が必要不可欠なのです。

 幕末の英雄である坂本竜馬は姉への手紙の中で、「日本を今一度洗濯いたし申(もう)し候(そうろう)、事にいたすべく神願にて候」と書きました。

 つまり竜馬は、「日本を改革することが、八百万の神々の願いである」と、そのように姉への手紙の中で言ったわけです。

 ここで注目して頂きたいのは、あえて竜馬が「今一度」と付けている、ということです。

 それはまるでこの日本が、これまで何度も、何度も洗濯され、そして改革されてはきたけれども、今再び洗濯が必要である、ということを示しているようです。

 確かに日本という国は、2800年の歴史の中で、何度も何度も改革されて、危機を乗り越えてきました。

 未だに奈良時代が続いていたり、戦国時代が続いていたり、江戸時代が続いていたり、明治時代が続いていたら、やはり多くの人々にとって、それは苦しみ以外の何ものでもありませんが、改革を行うことによって苦しい時代を進歩させるために、多くの国士たちによって、この国は幾度も、幾度も洗濯されてきたのです。

 そして世の中を見渡してみればお分かりのように、日本は今一度、洗濯しなければならない、そんな時代となっているわけです。

 しかしその改革は、源氏が平家を滅ぼすとか、戦国乱世で天下を統一するとか、古くなってしまった江戸幕府を倒すとか、そういった目に見える形だけの改革ではありません。

 なぜなら、たとえばかつて幕末の時代であるならば、坂本竜馬とか、吉田松陰とか、西郷隆盛とか、そういった一部の方々が大和魂を持って立ち上がれば、この国は護られ、そして栄えさせることができましたが、しかし今という時代はそうではないからです。

 現代が民主主義の時代である以上、そして現在の日本の主権が国民にある以上、私たち国民一人一人が、今こそ大和の心を持って、自分の出来うる範囲の中で戦うことが、現代には求められているのです。

 つまり今一度、日本に必要な洗濯とは、日本国民が失ってしまった大和の心を取り戻すという、心の洗濯であり、精神の洗濯であり、魂の洗濯です。

 「日本国民が失ってしまった大和魂を取り戻す」、これを「心の洗濯の時代」、あるいは「魂の洗濯」と言わずして、果たして何と形容したら良いのでしょうか。

 マザー・テレサに「心の貧しい国」と言われてしまったこの国には今、確かに「心の洗濯の時代」が到来しているのです。

 私たち一人一人が、己の心を振り返り、そして心を洗濯せずして、この日本を中国の侵略から護り、そしてアジアやオセアニアやアフリカの平和をも護り、そしてさらにこの国を栄えさせていくことなどできません。

 ならばこそ、私たちはこの国と世界の平和のために、己の心に目を向けていくべきなのです。




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 このまま日本人が平和ボケを続けていたら、本当にこの国は中国に滅ぼされ、結局、苦しみ後悔することになるのは、私たち日本国民自身です。
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 どうか共に、この日本を護り抜いていきましょう。