【第2のダウンタウンはいない】



ーーー桝本さんが思う今のお笑い界について教えて下さい。



桝本コージ(以下、桝)
まず『売れる』と言うのに大きさがあるとしたら、その数値はどんどん小さくなっていってると思います。



ーーー大きさですか?



例えばダウンタウンさんの売れ方が100としたら、それ以降100の売れ方をした人はいません。芸人さんは8年周期で売れると言いますが、もちろんめちゃくちゃ売れてますが、80、60、40…と小さくなっていっています。今ではバイトをせずお笑いだけで食べていける状態の5くらいでも『あいつら売れたな』って言って、僕もめちゃくちゃ羨ましいなと思います。



ーーーそれは何故なのでしょう?



芸能界は『イスの奪い合い』で『空いているイス』に座らないといけないと言いますが、もうそのイスが少なくなって来ているってのもありますが、勘違いしてしまいがちなのがダウンタウンさんが座っているイスは『1番面白い人が座るイス』じゃなくて『時代を作った人が座るイス』です。なので例えばダウンタウンさんと全く同じだけのセンスを持ってたり、ダウンタウンさんよりも面白い人が出て来たとしても、『1番面白い人が座るイス』には座れても、『時代を作った人が座るイス』には座れません。みんな『初めて見るもの』に衝撃を受け、その点も含めた100なので、ダウンタウンさんと同じ面白さだとしても同じ時点で100より低くなります。



ーーーなるほど。



【全ては大喜利だ】



大喜利って分かります?



ーーー大喜利って、あるお題に対して面白い解答を出す?



そうです。あれってただ面白い答えをひたすら出せば良いわけではなくて、順番と流れがあって、1個目の答え、そして次はそれより面白い答え、更に面白い答え、そして次は少し変化させた答え、そして更に次はお題すらはみ出した答え…そしてその後はもっとめちゃくちゃになったり、逆に最初に戻ったり…超ザックリ言うとこんな感じの流れで、例え面白い答えでもその前に同じくらい面白い答えが出てたらウケは悪くなります。



ーーー大喜利得意なんでか?



全く出来ません。ウケた事無いです。ただ見ててそう感じただけです。



ーーーなるほど…。



で、全ての物事って大喜利だと思うんです。



ーーーと言うと?(ウケた事無いくせに)



まず、ネタのボケ。1つの設定で漫才をする時も、コンビニの店員をやりたいって言ったら、1つ目のボケ、次にそれを超えるボケ、更に、そして変化、コンビニって設定すら超えたボケ…更にぶっ飛んだり戻ったり…とならないとウケません。



ーーーネタ書いてたんですか?



書いてません。最初のコンビの時に書いてましたが、あんな思い(滑る)するくらいなら二度と書くかクソが!と書くのをやめました。



ーーー。。。



で、ネタのボケの次にネタ自体。例えば単独ライブをするなら、最初に分かりやすく良い空気になる様なネタをして、次はちょっと責めたネタをして…ぶっ飛んだりまたシンプルなのに戻ったり…と構成しないとダメです。



ーーー。。。(聞かなくても構成した事ないだろ)



で、ネタ自体の次は漫才自体。例えばM-1とかが分かりやすいのですが、最初はシンプルに漫才が面白い人が決勝に行ったり優勝したり、次に少し変化をつけた漫才、更に変化した漫才、逆にシンプル…と見てる方は常に新しくて新鮮な答え(漫才)を求めます。面白くてもどこかで見た設定や漫才ではウケません。



ーーーなるほど(万年1回戦落ちだったクセに)



で、更にここから芸人自体から、『売れ方』も大喜利になります。まずダウンタウンさんの様に『時代を作ったから売れる』次に『人気コント番組のメンバーになったから売れる』、『コンテストでチャンピオンになったから売れる』、『芸事以外で注目されたから売れる』…と変化していってます。



ーーーつまり、例えコンテストでチャンピオンになったとしても、それまでに『コンテストでチャンピオンになったから売れる』と言う答えは既に出ているので、後から出してもあまりウケなくなる…と。



その通りです。その上で最初のダウンタウンさんの話に戻りますが、『こんな売れ方見た事がない。どんな売れ方!?』って大喜利のお題でダウンタウンさんが『面白い人間が時代を作って売れた』と言う最高の答えを出しているのに、みんなそれより弱い『面白いから売れた』と言う答えをずっと出し続けている様なものです。ウケが弱くなるのは当たり前です。それが僕が思うお笑い界かなと。



ーーーありがとうございました。て言うか【第1章】は普通に書いていたのに、【第2章】は何で急にインタビュー形式になったんですか?



何でって…面白いでしょ。



ーーーいやただただ意味が分からないです。



ははは、このセンスはあなたにはまだ分からないかな。



ーーーセンスが無いから大喜利もネタもウケた事が無いんでしょ。



【夢のカケラはすぐ側にある】



では続いて僕が思うお笑いのテクニックの話なんですが



ーーーいやもういいわ!止めろ!終わりだ終わり!!1人でやってろボケ!!!!!



…声を…なるべく大きく……はっきりと……
















語り手・桝本コージ
インタビュアー・桝本コージ
書き起こし・桝本コージ