助けたいけれど


地下鉄に友人達と

乗っていたら


突然

扉近くにいた男性が

バタン

倒れました


ゴン


扉に頭をぶつけてから

床に倒れたまま

動きません



あまりに大きな音

だったので

車内から

きゃあ

という声が上がりました

私もその瞬間を見ていたので

思わず声をあげてしまいました



その男性は

倒れて横になったまま

目を少し開けたので

意識があるようだと

わかりましたが


あまりに大きな音で倒れたので

一斉に車内にいたみなさんが


駅員に通報をしないと


頭を強くうっているから

動かさないほうがいい


など

口々に言いながら

倒れた男性を心配しました

優しい皆さん!


車内にあるSOSボタンを押し

車内で男性が倒れたことを伝え

車掌から

わかりました

やり取りが終わる時


ちょうど電車は

次の駅に着きました



すると…


なんと

倒れていた男性は

むっくり起き上がり

ふらふらした

足取りのまま


電車を

降りて

行ったのです


駅員が

救護に駆けつける前に


その男性は

ホームをふらふらと歩き

すぐそばにあった階段を

上がっていきました


みんな呆然として

その男性の後ろから

声をかけ続けましたが


男性はそのまま

行ってしまいました



SOSボタンで

車両番号も伝えたけれど

駅員も来ない

車掌も来ない

中での出来事でした



それから少しすると

救護のために

車椅子を抱えて

階段を小走りに降りてくる

駅員の方たちが…


倒れた男性は

ふらふらした足取りのまま

階段を上って行ってしまいました


伝えると

また階段を上がって

行きました



本当にこういう時

どうしたらいいのか?

悩ましいです



昔はホームにも

駅員さんはいましたが

今はどこでも

駅員さんの姿はありません


でもこういう時に

ホームに誰かいてくれたら…

思いました



倒れた男性は

あんな勢いで頭をぶつけて

倒れたのだから

そばで見ていた私をはじめ

車内の皆さんの気持ちは

救護されて

欲しかった

です


けれど


倒れた男性は

大人


なので


倒れたことで

みんなが心配して

通報してくれたのに

それに対してお礼も

すみません、もなく

降りて行ってしまった

その意思

押さえ込むことは

できない現実があることも

わかりました




帰宅してからも

はたして

どうしたらよかったのか

助けられなかったことを

悩ましく考えています



どうかご無事でいますように…