オスマン帝国外伝
シーズン4 第91話
寂しい祭りのあらすじと感想です。




ネタバレしております。



皇女ミフリマーフが、スレイマン皇帝を訪問。
断食明けの祝いを述べる。



かつての断食明けは、子どもたちの声があふれ賑やかでしたが、今年は宮殿も静まり返り寂しい祭りとなりました。


小姓頭フエルハトはそんな宮殿での生活に息苦しさを感じ、去りたいと考えている。
フエルハトはスンビュルに尋ねる。
ヒュッレム妃が奴隷の身分から解放してくださったのに、なぜ宮殿に戻ったのかと。
スンビュルはヒュッレム妃のために戻ったのだと答える。
他の場所では息ができないのだとも。
スンビュルは、ギュルフェム妃が逝去された夜からフエルハトが変わったという。

スンビュルに求められ、誰もが知っているけれども口をつぐむ恐ろしい出来事を語るようにとフエルハトを促す。


1952年。
バヤジトの訃報を聞いた陛下は憔悴されていると、ギュルフェム妃に告げるフエルハト。
何とか鎮静剤のシロップをひと口飲まれたらしい。

ギュルフェムはバヤジト皇子の処刑をそれほど悲しまれたのか?とフエルハトに聞く。
「信じがたい」と怒りを押されきれないギュルフェム。
胸を切り開いて、心があるのかどうか確かめたい…と。

フエルハトは殿下にふさわしくない最期に、陛下は苦しまれているとギュルフェムを諌める。

医師長が呼んでいると、フエルハトを遠ざけ、陛下の部屋に入るギュルフェム。

アヘンチンキで朦朧とする陛下に語りかけるギュルフェム。

子殺しの父親が眠れるものか
最初はムスタファ
次は哀れなジハンギル
今度はバヤジト
誰が何と言おうと、あなたが殺したのよ
あなたが望まねば葉さえ揺れぬはず
バヤジトを敵の懐に投げ入れた
セリムの思うがままにさせた
自分が無実だとは言わないで
災厄は全てあなたのせい
今や座ることもできぬ玉座のために家族を犠牲にした
見なさい さあ
ドームから滴る血を
血塗られた手は川でも海でも洗い流せない…

と言い、陛下の顔にクッションを押し付けナイフを振り上げるギュルフェム。

フエルハトが間一髪で制止し、振り上げたナイフはギュルフェムの胸に突き刺さる。



…というのが、フエルハトが胸に秘める出来事。
問われても話すことはできないという。

スンビュルは話さなくても、その目を見ればわかるという。
心の中にどんな嵐が吹き荒れているのかも。








父のところから戻ったミフリマーフの部屋をセリムが訪ねる。

よく顔が出せたものね

ほんまやで。恥知らず。

あれから5年。
セリムがバヤジトにしたことに対してここぞとばかりになじるミフリマーフ。

セリムは断食明けの祝いに来ただけだと言う。
歓迎しなくても良いが、帝国の唯一の後継者に対して無礼な物言いは許さない…。

どんなに卑劣で姑息な手段でも喜んで使う後継者よね。
…と言うミフリマーフに、
「姉上は清廉潔白だと言えるのか?」とセリム。
ムスタファ兄上の死に加担しただろう…と責めるセリムに平手打ち。

母上はこのドームの下に無実の者はいないとおっしゃった。
誰もが相応の人生を送ると。
これが最後で、これから無礼な態度をとれば平手打ちを食らわせる…とセリム。
そうすれば姉上は破滅だ。







セリムの長男、ムラトが宮殿にやってくる。

後宮では待ちかねていたヌールバーヌーが息子を迎える。
三つ子の妹たち、
エスマハ
シャー
ゲヴヘルハン
…も、兄をお出迎え。

そこに、ミフリマーフも顔を出す。
ムラトとミフリマーフの親しい様子に眉をひそめるヌールバーヌー。
カフタンはミフリマーフから贈られたもの。
連れ帰ったお気に入りの側女サフィエもミフリマーフからの贈り物らしい。
しかも懐妊しているらしく…。
動揺する蛇女の様子を横目で見るミフリマーフ。



早速そのことをセリムにチクリに走る蛇女。
ところが…
セリムは宮殿だというのに、飲んだくれて酔っ払っている。
「ミフリマーフのせいね?」と蛇女。
私たちを苦しめたいだけなんだから気にしたらあかんで…と言うが、セリムは「姉上が正しい」

弟を殺したことは事実だからだ。
周りのものも皆口に出さないだけで、セリムがバヤジトを殺したことを知っている。
バヤジトの死ぬ前の言葉もいつまでも脳裏から離れない。
何年たっても裏切り者の酔っ払いって語り継がれるってやつ。



ヌールバーヌーの様子にざまあ…なスンビュル。ミフリマーフの手腕を褒める。
久しぶりに蛇女のモノマネまで披露。
アルバニア人のサフィエをベネチアの貴族に仕立て上げたらしい。
サフィエを血族だと思い込ませて競争心をあおる企て。
やるやん!ミフリマーフ。
ヒュッレムでさえなれなかった母后という立場。
それを蛇女にくれてやる気はさらさらない。
サフィエにもしっかりと恨みを注入。
安心しきっているセリムの最大のライバルになるのが息子ムラトだ。
そのムラトはミフリマーフに近い。

偉いぞ!ミフリマーフ。
小さい頃から悪知恵だけは働いていたもんね。

亡き母上の魂が宿っているようだ…とスンビュル。





サフィエを連れて、両親に断食明けのお祝いを述べるムラト。
サフィエを、ヌールバーヌーと同じベネチア人であり、バッフォ家のゆかりの者だと紹介する。
ソフィア・バレッチ・バッフォだと名乗るサフィエ。
レオナルド・バッフォの娘だと。
警戒する蛇女。

ミフリマーフは、ムラトとサフィエを食事に招く。

ムラトは、父上と伯母様の心の溝が、母上に警戒心を抱かせると言う。
ミフリマーフも正直に、セリムはお気に入りの弟ではなかったと言う。
バヤジトのことで疎遠になったと。
でも、お前は違う。
唯一の甥であり、私の寵児。
バヤジトに似ている。

…そのバヤジトの胸に矢を射込んだのは自分だ…とは言い出せないムラト。
伯母様の愛情に応えられるよう精進します…という。

過去の教訓から学び、敵味方を見分けろと言うミフリマーフ。
兄弟間の争い。
父親による子殺し。
セリムは玉座につくけれど、飲んだくれてばかりだし、何が起こるかわからない。

皇太子である父上に失礼な物言いでは?と言うムラトを褒めるミフリマーフ。
自分の父は尊敬し、守るべきだから。

でも目は開かねば

サフィエを連れて挨拶をした時のセリムの様子を見れば明らか。

だからこそお前が帝国の唯一の未来

自ら売り込まねば。

マニサの統治を任されるムラト。
スレイマンからも褒められているそう。

お祖父様と親しくするのは良いことだと言うミフリマーフ。
ミフリマーフは、セリムに変わって、皇帝への献上品を用意したらしい。
セリムが届ける馬よりも素晴らしいものを。
今にわかる。





その、スレイマン皇帝は、すっかり目が弱ってしまい、書を読むのも難しい。

ヒュッレムが、自分が目になると代わって読んでくれた時のことを思い出しております。
私たちは二人で一つ。
身も心も一緒だと。

フエルハトがムラトの来訪を告げる。
ミフリマーフが一緒だと。

ムラトは、会議に出席したいと、皇帝の許しをこう。

御前会議では大宰相ソコルルがオーストリアとの問題を提起。

その話を聞いたムラトは、許しを得て献上品を披露。ミフリマーフが用意したやつね。

それは…
世界地図。
果てしなく広がる土地は全て陛下の作品。
全ての下僕がこれを目にし、陛下の偉大さを知るべきだ…と。

スレイマンは帝位についたばかりの頃を思い出す。
御前会議で地図を広げ、ブダやローマを目指すと宣言した日のことを。

微笑むスレイマン皇帝。

大変満足だ

何でも望が良い…と言われ、ムラトが求めたのは、尊い御手への接吻。

見せたいものがある…とムラトを連れて行く皇帝。

ムラトが連れて行かれたところは、帝国の図書室。

地図や、慣習、蓬莱、往復文書、協定など。
地図に地を通わせる全ての情報がここにある。



息子ムラトが会議に出席したと聞き、急いで自分も…とやってくるセリム。
スレイマンは何も言わず睨みつける。

去っていこうとするムラトをとどめ、
「なんのマネか?我が獅子」
…とセリム。

お祖父様から知識を学び、将来に備えるためだと答える息子。

お前の将来のために、こんなに辛い思いをしてるんやで…と恩に着せる父親。

そんな父親を反面教師にすると言い、去っていく息子。





スレイマンはソコルルに命令する。

今後葡萄酒を禁止にする。
醸造所は直ちに閉鎖。
酒場は壊せ。

非イスラムや欧州の者からの反発が予想されると言う大宰相に、我々の宗教では禁止されている。
すぐ対処せよ!と命令。

息子の前に酒臭い醜態を晒すセリムによほど腹が立ったのね。


後宮のヌールバーヌーも怒りをあらわにする。
サフィエのことを何も知らなかったからだ。
息子の後宮のことなのに。

弟の復讐のためにミフリマーフが企んだのだと声を荒らげる蛇女に、女官長ジャンフェダーは、やっとここまで来たのだから辛抱しろと言う。
もうすぐ玉座はセリムのもの。
その時に勝利宣言をなさるのです。
そうすれば皇女は力を失うでしょう。

それでもサフィエという女が気にかかる蛇女。

そこに、当のサフィエが挨拶にやってくる。

ベネチアでも高名なお妃様にご挨拶できて光栄です…とサフィエ。
ご子息の寵愛を賜り大変光栄です…。

お前の素性なんかどうでもいい…と蛇女。
大切なのは忠誠心。
近くその忠誠心を見せてもらうからそのつもりで。
さもなくば、お腹の子は他人が育てることに。
ボスポラスの冷たい海に沈めてやるからね…

…って、それ、ヒュッレムから言われた言葉、そのまんまですやん。

サフィエは答える。
忠誠心を証明する方法が一つあると。

それは男の子を産むこと。

セリム殿下からお妃さまが愛されるように、自分もムラトから愛情を受けていると。





断食明けの祭りが終わり、それぞれの思惑を胸に、セリムもムラトも任地に帰って行く。

その姿をテラスから見送るスレイマン。

後宮にも日常が戻る。





孤独になればなるほど神に近付ける…なんてつぶやくムヒッビーなのでした。










‥という第91話でした。







ギュルフェム妃の最期が、そんなことやったなんて。
辛すぎる。
つもりに積もった恨みつらみもまとめて噴出してしもたんやね。
ギュルフェム妃には、怒りを抑えて、後宮の良心として存在してほしかった。



で、あれから5年も、姉の叱責から逃げ続けていたのね、セリムったら。

セリムがバヤジトにしたことは、一応反乱による処刑って事で落ち着いているのね。

でも、それは、セリムが卑怯で姑息に暗躍して騙し討ちにしたのも同然だと皆んなが知っているって感じ?

それを、皇帝はどう納得したんやろ。
許したいという思いがあったのは間違いないのに。

でも、ほんま情けないやつやで。
セリム。



ミフリマーフの作戦はええとこ突いております。
ムラトをしっかり後継者に育て、セリムの情けなさを際立たせる作戦。

サフィエはどこまでやれるのでしょうか。



ムラトとサフィエ




Wikipedia先輩からによると、ムラト3世の妃はサフィエ・スルタンとなっているから、二人の中は長く続くみたい。

…てか、ムラト3世の一生をWikipediaで確認して暗澹たる思いになってしまいました。

辛い。
あまりにも辛すぎる。
てか、可哀想。

特に、手術の副作用云々のところ。


闇。