その1 では、「無痛分娩の種類」と「開始時期」を確認しましょう、ということをお話しました。
つづいて、
3)「誰が麻酔をするのですか?」
たとえば硬膜外麻酔でカテーテルを留置する場合、誰がカテーテルを入れて、その後誰が管理するか?ということです。
常駐の麻酔科医がいれば、その先生がカテーテルを留置してその後の管理も行います。
常駐の麻酔科医はいないけれども非常勤で来ている、あるいはカテーテルだけ入れに外部から来るという場合は、カテーテルの留置は麻酔科医ですがその後の管理は産科医となる場合もあります。
硬膜外カテーテルの留置を産科医が行うことも開業医さんでは多いと思います。その場合はカテーテル留置もその後の管理もすべて産科医となります。
産科の先生の中には無痛分娩を積極的に導入されていて麻酔について最先端のことまで熱心に学ばれている先生も多いですが、産科開業医さんの場合、日中は外来診療をなさっていることがほとんどなので、無痛分娩中の妊婦さんの観察は助産師さん任せにならざるを得ないケースがほとんどです。
そういった施設では助産師さん教育までしっかりしているかどうかもとても大切です。
カテーテルを良い場所に入れられるかどうかももちろん大切なのですが、お産は長丁場ですので、その後の管理もお産の進行に影響を与えるので非常に重要になってくるからです。
4)「いつまで麻酔が効いていますか?」
通常は赤ちゃんが生まれるまで硬膜外麻酔のお薬は流します。
しかし、子宮口が全開大したらもれなく全例お薬を中止するという施設もあります。
なぜ中止するかというと、子宮口が全開大(10cm開くこと)してから赤ちゃんが生まれるまでの時期を「分娩第2期」と呼ぶのですが(ちなみに「分娩第1期」は陣痛が始まってから子宮口が全開大するまでの時期)、無痛分娩ではこの「分娩第2期」が自然分娩にくらべて少し長くなるという研究結果があり、器械分娩(吸引分娩や鉗子分娩のこと)になる確率も自然分娩より高くなるというデータがあるのでそれらを避けるためなのですが、この場合お薬の効果は20~30分で切れますので、痛みも当然出てきます。
また、無痛分娩を行える時間帯を夕方5時までとし5時になったらお薬を流すのを止めるといった施設もあります。5時までに生まれればよいですが、5時までに生まれなければその後は自然分娩ということになります。
これは日勤帯だけ無痛分娩を行うパターンで、夜勤帯になるとスタッフの人数が減ったり、当直医は無痛分娩の経験のないドクターに交代してしまう、といったその施設の諸事情で安全性を重視したものです。
3)、4)あたりになると「無痛分娩」がどうこう、というよりもそれを行う病院の事情というもののほうが大きいことがおわかりになるかと思います。。
もう少し続きます
TTOA ranran
TOKYO産科麻酔チーム