無痛分娩中の過ごし方については、こちら に詳しく書いていますので、どうぞご覧ください。


無痛分娩中は、トイレに歩いていけないというお話を前回 しました。


今回は食事についてお話します。



勘の良い方は、ピンときたのでは…?


もしかして、無痛分娩中はご飯食べられないのあんぐり!?


そうなんですうぅぅ~



そんな、ヒドイっ。

飲まず食わずで子供なんて産めるのっっ泣??



実は、飲んだり食べたりするほうが、ヒドイことになってしまう危険性が高まるのです。

理由をご説明しますね。






出産間近の妊婦さんのお腹はかなり大きいですね。

これはもちろん、子宮の中に赤ちゃんがいるためです。

その大きな子宮で胃も圧迫されています。


胃の中の食べ物はある一定の時間で消化されて腸に送られます。

出産中の食事は普段よりも消化されにくく、胃の中にとどまりやすいのです。


そして、妊婦さんは胃の入り口が緩んでしまって、胃の中のものが逆流しやすくなっているのです。


無痛分娩を行うと、鎮痛薬の影響で、消化されて腸へと送られる時間はさらに長引きます。


無痛分娩中は、

食べた物を吐きやすく、胃の中のものが消化されにくい状態なわけです





そして、さらに大切な理由があります


アメリカでは、無痛分娩ではなくても、すべてのお産で絶食が基本です。


すべてのお産が緊急帝王切開になる可能性があるから、です。



脅しでもなんでもなく、これは事実です。



そして、緊急に帝王切開が必要になるほどの状態では、一刻も早く赤ちゃんを出してあげる必要があるので、全身麻酔を行わなければならないこともあります。



全身麻酔。



妊婦さんにとっては、非常にリスクが高い麻酔で、できれば避けたいのですが、

そうも言っていられない状況というのが、超緊急帝王切開です。



なぜ妊婦さんにとってリスクが高いのか?



胃の中のものが停滞している状態、これを医学用語では、フルストマックと呼びます。


緊急手術のときに、麻酔をかける際もっとも気をつけなければならない状態なのです。


麻酔科医なら、フルストマック誤嚥性肺炎、とすぐに連想します。



誤嚥性肺炎。



文字通り、誤って胃の中のものが気道に流れ込んで起こる肺炎。


胃の中のものは胃液と混ざっているので、酸度が高く、気道や肺で化学反応を起こし、

命にかかわるような肺炎を起こしてしまうのです。




妊婦さんが不利な点はまだあります。




まだあるのかよっえ~ん




妊婦さんは、妊娠の影響で、むくみやすくなっています。


これは口の中や鼻の粘膜もです。


そして、体重も妊娠前より増え、乳房も大きくなっているので、全身麻酔の際の気管内挿管が難しい場合も多々あります。


気管内挿管に手間取っている間に胃の中身が気道に流れ込み、誤嚥性肺炎を起こしてしまう。。

なんて、麻酔科医であれば、想像するのも恐ろしい状況になるリスクが高いのです。。







。。。以上のような理由から、無痛分娩中は、禁飲食を基本としていますはっぱ


もちろん、点滴;で水分や糖分、電解質(いわゆるミネラル)を補っていますので、

低血糖や脱水などになる心配はありませんok


(小さな氷片宝石を口に含んでいただいたりすることも可能です。)







妊娠で体は驚くほど変化していますので、いろんな注意が必要になってきます。



怖いことがたくさん書いてあってやだな~ウキャー!、と思われたかもしれませんが、

とても大切なこと、知っておいていただきたいことなので、書かせていただきました。



より安全に出産していただくためということをわかっていただけると嬉しいですウインク







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TTOA ranranキラキラ☆


☆麻酔専門医による安全で快適な無痛分娩☆

TOKYO産科麻酔チーム