三菱自動車工業は2月9日、ツインモーター4WD採用のプラグインハイブリッドEV「アウトランダーPHEV」を一部改良して発売しました。
価格は365万9472円~478万9260円。

 今回の一部改良では、内外装のデザインに上質感を与え、ビルシュタイン製の高性能ショックアブソーバーや構造用接着剤の採用などによって走行性能を高めた「S エディション」を新グレードとして設定しました。
 
 また、プラグインハイブリッドEVシステムを改良して効率を高めたほか、予防安全技術「e-Assist」のセンサーをミリ波レーダーからカメラ&レーザーレーダー併用システムに変え、「後側方車両検知警報システム」などの採用で安全性を高めています。

 プラグインハイブリッドEVシステムの改良では、これまで駆動用バッテリーに極力負荷をかけないよう制御していたエネルギーの取り出しマネージメントを見直し、バッテリー寿命に影響を及ぼさない範囲を見極めつつ電力供給の出力を10%ほどアップ。
 
 高速道路での合流加速などのシーンでも、EV状態を保ったままエンジンを始動させずに走り続けられるようにしました。
一方でエンジンの始動性を高め、必要なときには従来よりもすばやく発電を開始してモーターに電力供給できるように改良。追い越し加速などの瞬発力が求められる状況で加速レスポンスを高めています。

 また、充電時のアンペア数を50Aから60Aに高めたことで、普及が進んでいる出力の高い急速充電器に対応。条件に応じてこれまで約30分としていた約80%までの急速充電時間を約25分まで短縮できるようにしました。

 このほか、従来は走行モードとして走行時に積極的にエンジンを始動させてバッテリー残量をキープする「バッテリーセーブモード」、停車/走行にかかわらずエンジンを作動させてバッテリー残量を増やす「バッテリーチャージモード」の2種類を設定していたが、一部改良で新たにバッテリーの電力を可能な限り使うようにしてエンジン始動を抑制する「EV プライオリティモード」を追加。
センターコンソール後方に新設された「EV」と書かれたボタンを押すことで、基本的にモーターのみを使って静かに走れるようになります。
e-Assistでは、車両前方のチェックを行なうセンサーをミリ波レーダーからカメラとレーザーレーダーを併用するシステムに変更。
「衝突被害軽減ブレーキ(FCM)」の回避性能を向上させ、歩行者の検知も可能としました。
また、「車線逸脱警報システム(LDW)」でも警報精度を高め、警報タイミングの最適化も実施しています。
なお、ミリ波レーダーは「レーダークルーズコントロール(ACC)」用として継続搭載する。

また、これまでe-Assistは車両の前方に対する予防安全技術となってましたが、新たに車両後方にミリ波レーダーのセンサーを追加。
走行中に自車の後方に存在するリスクを検知してドライバーに知らせる「後側方車両検知警報システム(BSW)」(レーンチェンジアシスト機能付)と「後退時車両検知警報システム(RCTA)」を新採用。
既存の「誤発進抑制機能(UMS)」「パーキングセンサー(前後)」とのセットオプションとしてせっていされています。
このほかも積極的にハイビームを使えるようにして夜間走行時の視界を広げる「オートマチックハイビーム(AHB)」を追加して安全性を高めています。
走行性能では基本となる足まわりのセッティングで、ショックアブソーバーの構造見直し、減衰力設定の最適化などを実施。
さらにリア側のトーコントロールアームに使うブッシュ剛性を引き上げたことなどにより、直進安定性を操舵時の手応えを向上させつつ、接地感のアップによって快適で安心感の高い走りを実現しました。

 三菱自動車独自の車両運動統合制御システムである「S-AWC」では、雪道などの滑りやすい場所を走るときに使う「LOCKモード」の駆動力配分を5%分リア寄りに変更。旋回性能と走行安定性を高める「AYC」でも早い段階から作動を開始する制御を与え、コーナーリングでより積極的にコントロールできるようなセッティングとしました。

 車内の装備では、パーキングブレーキをセンターコンソールのレバーを引いて操作する手動式から、「ブレーキオートホールド機能」も備える電動パーキングブレーキに変更。純正オーディオにAppleの「CarPlay」、Googleの「Android Auto」に対応して音声認識や各種アプリなどを利用できる「スマートフォン連動ディスプレイオーディオ(SDA)」を新設定。
S エディションに標準装備するほか、Mグレード以外でオプション装着可能としました。
 
一部改良の割には細かい所が色々工夫されている印象でした。