さいたま市の着物イベントボランティア&日本着物スタイリスト協会認定着物フォトスタイリストのmaster_minminです。
(「着物フォトスタイリスト」は登録商標で、協会に認定されないと名乗れません)
小池百合子都知事がリオデジャネイロのオリンピックの閉会式に出席するため、現地に来訪しています。リオ市のパエス市長との共同記者会見に着物で出席して話題になっていますね。
--------Yahooニュースより
小池都知事、リオで着物姿 「おもてなしの心」アピール (フジテレビ系(FNN)8月20日 0時53分配信)
リオデジャネイロオリンピックの閉会式に出席するため、現地に到着したばかりの東京都の小池 百合子知事が、現地時間19日、和服姿で「おもてなしの心」をアピールした。小池知事は「4年後には、心を込めた最高の『おもてなし』で、皆様をお迎えできるよう、精いっぱい準備を進めたい」と述べた。丸1日以上の飛行機での移動の疲れも見せず、記者会見に臨んだ小池知事は、和服姿の狙いについて、「日本のおもてなしを最大に象徴するものだ」と説明した
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(画像は、和歌山市の着付け教室 〜yoshiko〜 さんから許可を得て掲載しました)
どうやら出発前から「閉会式では勝負服で」との発言もあり、閉会式での着物着用の噂は出てましたが、記者会見も、という姿勢が素晴らしいです!
これがスーツだとしたら、どんなに高価なものや特別なものであっても、大して話題にならなかった事でしょう。
キャリアウーマンは仕事一筋、文化的な面はあまり強くない、というイメージがなぜか世間一般にはあるようですが、これで良い意味でその印象をひっくり返してくれましたね。
世界が認め、羨望の的となる民族衣装で、オリンピックを歓迎する姿勢を見事に表してくれました。(閉会式にも期待しましょう!)
しかし、この件はちょっとネット検索すると「着付けがひどい」という発言もチラホラ見かけます。
以下のニュースから考えると同行職員4名で、着付けスタッフの手配は無理だったかと思います。
----------- Asahi.comより-----------------
知事、リオ出張はビジネスクラス 閉会式に1千万円
<前半略>
21日のリオデジャネイロ五輪閉会式に出席する日程も公表。18日に出国、24日に帰国するとして飛行機はビジネスクラス、同行職員を大幅に減らして4人にした。
<以下略>
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ご自分で着付けられたとしたら、十分お綺麗だったし着慣れている感じも出てましたよ。
批判する方の言わんとするところもわからなくはないのですが、着付けの完璧さを求めるよりは、ここぞという場で着物を着用したことの方がよほど重要だと私は思いました。
これ、着物に独特な現象です。例えばスーツだったらそういう批判(着方が下手など)はないのです。
なぜか?理由を考えてみました。
着物はそれそのものでは未完成な衣服だから
洋服は立体裁断で、誰が着ても大体同じようなシルエットになります。
ところが着物(特に女性もの)は「着付け」というスタイリングを経て、着る人の身体にアジャストしていきます。それで着上がりの印象がガラリと変わります。
ここに、戦後着付け教室で広められた「(どんな年齢や体型の人にも当てはめられる)絶対的に完璧で正しい着付けが存在する」理論を重ねて、「自分が美しいと思うもの以外は否定してよい」という文化(?)がなぜ〜か存在するようです。
しかし!着物をよく着る友達は「着付け教室が違うのは、宗教が違うのと同じくらい違いが大きい」と言っています。
また、頻繁に着る人ほど、他人の着付けに対して寛容ですし、着付けが上手な人ほど自分の目が厳しいのを自覚していますから、それをあらゆる人にあてはめようとはしません。
という事で、着物や浴衣を着た時、「お直しおばさん」が怖い〜、と思っている人は少なからずいると思いますが、正直、そんなのは気にしなくてよいです。
(会って気分を害しそうになったら、貰い事故でもしたと思って流しましょう)
着るものをどう着たいか、は自分で決めてよいと思います。(「式」という場で招いてくださった方に恥をかかせるような事にならなければ)
もちろん、「こうありたい」「こう着たい」を模索し、思考錯誤する事でもっともっと素敵な着姿になり、もっともっと着物が楽しくなりますよ!それは強制されるのではなく、自分で楽しく、やれば良いことなのです。