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| 仲村トオル(写真:夕刊フジ) |
「言葉にこだわるところが似ていますね。相手が喜ぶ言葉、ひるむ言葉など、もっとも的確な言葉を選んで話そうとするところというか…」
たしかに、こちらが質問すると、ゆっくりじっくり考え、きちんとこちらの目を見て話を返す。その真摯な姿勢は、インタビュー慣れした著名人には珍しい。
「自分の子供にも、『それを言ったり、やったりしたら、どうなるのかを想像しなさい』とよく言っていますね。僕自身も、“こんなことをしたらどんな風に思われるだろうか”と常に考えて判断しているところはあります」
3シーズン目を迎えた人気ドラマに出演するにあたって、いろいろなことを考えたようだ。一般的には、シリーズが変わると演じる役柄の別の一面を出そうとしがちだが、「シーズン3だからといって、変えないようにしている」と言う。
「スタッフからは、(イメージを)変えようという話も出たのですが、『変えたら誰がうれしいのだろう?』と考え、『うれしいのは自分たちだけではないか?』という結論になったんです。だから、視聴者に望まれていることを飽きずにやろうと思っています。…といいつつも今回は、白鳥の驚くような過去が出てきたりもするので、さじ加減が難しいですね。ニュートラルな立ち位置で、白鳥の過去が成立するように演じたいです」
自分がどう見られたいかよりも、視聴者の気持ちを重視する。これもまた“観察力”と“想像力”のたまものだろう。ただ、同じ役をずっと演じることは、役者にとって難点でもある。
「自分のイメージが固まっていくというリスクはありますね。でも今後、第4シリーズもできるような質のものを作っていきたいと考えています」
今回のテーマは、“死因不明社会”の究明。死者の解剖率が3%と言われる現在、Ai(死亡時画像判断)センターの設立を巡り、新型MRIの中で殺人事件が起きる。
「『悲しみの一部が浄化されるだろう』というセリフがあるのですが、死因が分かれば、亡くなった人の人生が良きものであったと残された人が思えるかもしれない。そんなことが伝えられるドラマにしたいですね」
東日本大震災を機に、俳優としての意識にも変化が起きたそうだ。
「春のセンバツを観戦した茨城県の女性が『すごく楽しかった。見ている間は嫌なことは忘れられた』とニュース番組で語っていたんです。そのとき、『テレビってそういうこともできるんだ』って思いましたね。だから今回は、そのことをきちんと意識して演じたい。視聴者の方々にも、純粋にドラマを楽しんでもらいたいですね」
映画「ビーバップハイスクール」でデビューして26年。始めはアイドル的存在だったが、いまや演技派俳優だ。
「以前、小学生時代の担任の先生に聞かれたことがあるんです。『いい子を演じるのが疲れたという生徒がいるけど、君は演じるに疲れないのか?』と。そのとき僕は、『演じている振りをして本気を出しているから疲れない』と答えました」
いつも本気。だからこそ、彼の演技は人の心に伝わる。
「俳優は、何歳になっても夢を見ることができる職業。飽きないし、諦めない気持ちでずっと挑んでいきたいですね」(ペン・加藤弓子 カメラ・桐原正道)
■なかむら・とおる 1965年9月5日生まれ、45歳。千葉県出身。85年の映画「ビー・バップ・ハイスクール」でデビュー。86年からシリーズドラマ「あぶない刑事」の新米刑事役で人気に。韓国映画「ロスト・メモリーズ」では大鐘賞映画祭最優秀男優助演賞を外国人として初めて受賞。95年に結婚した女優・鷲尾いさ子との間に12歳と7歳の2女がいる。
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