個室に移ってから家内との会話が多くなった。
左脇腹の痛み、咳き込みがなければ体調としては平常に近づく。
あとは、ストーマへのパウチ(袋)の取り付けに慣れること、ストーマのサイズの確立ができれば退院となる。
ストーマ対応は全くの想定外だが、これも命を確保するための手段だったとして受け止めるしかない。
生きているだけで丸もうけ。
家内が好きな明石家さんまの言葉だ。
生かしていただいたのだから、贅沢は言えない。
がん、と一口で言っても、できる部位で治療もその後の生活方法も大きく異なる。
大腸がんの場合、結腸と直腸では危険度も予後の生活も異なる。
直腸がん術後の方々がよく経験するストーマの生活では、二日に一回ストーマのパウチを交換する。
その際は横になって30分程安定させる必要がある。
また、自分の意志で排泄できないため、その対応にも注意を要する。
健常者と比較して、生活するのにこれまで考えもしなかったことを念頭に置く必要がある。
さらに、数カ月後に縫合不全の箇所が大丈夫な状態になったら、ストーマを閉鎖してS字結腸と残された直腸を繋げることになる。
がん細胞があった直腸の部位は切り取られたため、残された直腸が短い分、頻繁に便意をもよおすなどの排泄障害のリスクを伴う。
選択は個人の意思だが、どちらも悩む。
ブログでは、ストーマや排泄障害に関して膨大な経験事例がある。
家内はそれを最近まで読んでいては暗い気持ちになったが、途中で気持ちを切り替えて読まないようにした。
暗い気持ちになっては、暗い現実を招き入れる。
人は人、自分は自分として割り切った。
自分軸を作るためにこの現実を与えられた、と解釈し、先に進む決断をした。
また、自分に正直になることも学んだ。
心も強くなってきた。
左脇腹の痛みが明日も続くようであれば、検査の可能性もある。
いま憂いても意味がないので淡々と明日を迎え入れる。
明日も太陽は昇り、光が差し込むだろう。
自分が大丈夫と思えば、大丈夫。
ビートルズ時代のジョージ・ハリスンの「Here comes the sun」
スタートのギターの旋律がきれいだ。
明朝の太陽を思い浮かべて。
そして言う。
オールライト。
大丈夫。