アリストテレスのブログ

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「訓練生、集合じゃ!」
アシームの声が響く。
とうとうこの日がやってきました。思ってもいなかったまさかのメタル池でのトレーニング……あの薄暗く、底も見えない、不気味な池に飛び込む事になるなんて……
「皆の衆、今日の訓練はいたって簡単!メタル池の海岸線から泳いで対岸に行き、対岸にしか咲いていないルビー草の花を一輪持ち帰って来るんじゃ。制限時間は日が暮れるまで。それまでに帰還せぬ者、飛び込む勇気、泳ぐ勇気の無い者は失格、脱落じゃ。上の部隊に進む権利など無い。さぁ、行ってこい!」
行くしかない…とは分かっているもののまだ誰も飛び込もうとはしません。メタル池の視界は見えても1m程度、それ以上先は吸い込まれそうな暗黒色が蠢いています。
「ほれほれ、誰もいかんようじゃ皆腰抜けばかりか?偉大な先輩部隊も悲しむのぅ~。」
その時です。一瞬にして辺り一面に霧が立ち込めてきました。
「さぁ、ウジウジしていても状況は悪くなるばかりじゃ。次は雷が落ちそうじゃぞ~。」
まるでアシームが操作しているかの天候でした。
行くしかない!
前もろくに見えない中、必死に前進しました。気付けば生温い池の水が身体にまとわりついていました。
「こんな時にゲンゴロウにでも見つかろうものなら相手の思うツボだ…」
先を急ぐしかありません。
その時です。何かか細い声が聞こえた気がしました。何か蚊の鳴くような声で…
「おいっ、そこのアリンコ。
おいったら。」
周りを見る余裕も無く、しかも視界はほとんど無いに等しい状況の中、声の主など探せるはずがありません。
「聞こえてんのか?全く失礼な奴。」
目の前に現れたのはアメンボです。
「何か用か?今は見ての通り、お前の相手をしている状況じゃないんだ。」
「へっ、偉そうに。せっかく人が助けてやろうと心配して追っかけて来てやったのにこれだぜ。あ~ぁ。」
「アメンボのお前が一体どうやって自分の身体に等しい俺を助けるってんだ⁉」
「まぁ黙ってな!それはそうと目的地は対岸でいいのかい?」
「目的地はまさしく対岸だが、軽くまだ3kmはあるぞ。まさか俺の羽根でってゆうんじゃなかろうに(笑)」
「へっ…アメンボを見くびったらその六本の足元すくわれるぜ!騙されたと思って俺の脚に捕まんな。」
確かに今は騙されてもいいくらいの切羽詰まった状況…藁をもすがる苦境なら、一縷の望みに賭けるのも悪くないと思い、アメンボの後ろ脚に捕まった途端…
「信じる者は救われたなぁ~、ラッキーだぜ、貴様は!」
瞬きする間に、気付けば対岸に着いていました。何をどうやったんだ⁉
「……アメンボ、名前は?」
「面食らった表情とはまさに今のあんたの顔の事だな(笑)俺の名前はミリート。またきっと会うはずだぜ!またな!あばよ~」
その瞬間にまた消えるように走り去って行きました。とにかく助かった…今は次の目的のルビー草を見つけねば。