一目惚れというにはあまりに不確かで突飛な話し
しっかりと見てもいないのですから、惚れというよりは憧れに近いのかもしれません
でも、異性に対する、それがわたくしの心に初めて彫られた一目惚れの墨でございました
月の夜空に江戸の町
生まれ育ったわたくしには見慣れたはずの夏景色
今宵はなんだか少し違って見える気が致します
みうは、そんな子供のように輝いた目で外を見ているお雪を見ていることしかできない
あの方の翼になってあげたい
この屋敷に仕えることになったとき、頂いた美羽の名の如く
しかしそれができない自分が悔しい
でも、と不意に思うのである
あの泥棒なら、忌まわしきこの宿命からいともたやすく解放してくれるのではないか
まるで提をポンッと叩くように
あっけなく
ほら!宝はここだ!
お宝はここにあるぞ!
早く見つけておくれ
連れ出しておくれ
そう叫びたい衝動を押さえつ、しかし近い日にあの泥棒はやってくる
そしてあのドジな泥棒は格好悪く登場するはずだ
そして何故かお雪様の心を掴むのだ
なにかそんな予感を強く感じた
この見慣れた景色が広がるのはもうすぐです
近い日に必ずあなた様の世界が広がる
みうは見慣れた窓の世界をお雪と共に、いつもとは違う想いで見つめ続けるのであった
~お雪~
(脚本:尾形祐介)