NHK教育テレビのアニメに「おじゃる丸」というのがある。
ゆるキャラ・オンパレードのアニメであるが、
そこに「自分探し」のためフリーターを続ける、
熱血青年がたびたび登場する。
常識を知らず、思ったままに行動する彼は、
たびたびアルバイト先で問題を起こし、
追い出され、また新たな職場で自分探しを続ける。
そういう、キャラ設定である。

笑えない(^▽^;)
まるで自分のことのようだ。
私も学生時代、ずいぶんとアルバイトを変えた。
親や友人に迷惑を掛けたこともある。

このアニメ「おじゃる丸」。
売れない女性作家も度々登場する。
その自意識過剰な様ったら、見てられない。

笑えない(^▽^;)
まるで大学院生時代の自分のようだ。
研究室周辺で、教授や助手、ゼミ仲間に、
「自分は優秀な人間」と見られているか。
とかく気になってしょうがなかった。
他の研究室のゼミに言って、
思いつくままに質問や意見をしたことがある。
思えば恥ずかしいことであった。
穴があったら入りたい。
慕い、手紙を送った人もいる。
先日、家を掃除していたら、
その方からの返事があった。
まったくもって、迷惑な話だったろう。
その手紙がすでに存在しないことを願う。

大学時代、車の免許をとった。
教習所に入所すると、まず身体検査や心理テストがあると思う。
その心理テストで、私は「C」だった。
あまり運転に向かない性格らしい。
(事実、ちょっとした事故をおこしたことはある。)
その心理テストの結果は、
「社会的未成熟のため、自動車の操作に問題が出るだろう。」
とあったと記憶している。

思い出してみると、
「いまあなたは、田舎の広い道を運転しています。
 人気もありません。
 スピードを出したくなりますか?」
というような質問のオンパレードだったと思う。
迷わず、「はい」と答えた(記入した)。

これが間違いだったらしい。
なんでも正直に答えてはいけなかった、らしい。
知り合いになった人に聞くと、
「こういうところで正直に答えるなんて、
 どんな教育受けてきたの?
 そんなの、常識に答えておけばいいんだよ。」

何、正直に答えてはいけないのか!
そんなテストがあるのか?
これでも東京の有名大学にいってるんですけど。
いままで、人にあまり嘘はついたことはないし、
正直・誠実であることが大事だと思っているんですけど。

それは社会的に未成熟なんだと。

これには実は、ずいぶんと凹みました。
心理テストが「C」だったせいか、
検定には何度か落ちました。

あれからもう20年近く経ちました。
妻は、私の誠実そうなまなざしがいい、と言ってくれます。
(すいません、のろけで。)
生徒や保護者も、
「ロベルト先生の、熱心さや誠実さには感謝してます。」
と言ってくれます。
また心理テストを受けることがあって、
「社会的に未成熟」と診断されたら、
正直で真っ直ぐに生きていることがまちがっているというなら、
そんな社会は壊してやる、と反社会的な態度に出たいと思います。

もちろん空気も読めず、
いたずらに本音を漏らし、
他人を傷つけることがあったら、それはいけないと思います。
ですが、正直に生きることが悪い、
というのは、そっちの方がおかしい、と胸を張って言おうと思います。

社会的に未成熟でもいいじゃないか。
純粋に、子どもと一緒に時間を過ごすことが大事で、
そういうことを引き受ける職業(教師)も必要なのだ。
すべてが市場原理・企業社会の常識の枠内である必要はない。

教え子が、
大学院に通いながら、非常勤講師をすることが決まった、
とメールをくれました。
いつか自分も歩いた道。
彼の輝かしい未来を祈る。