今日は高校3年生の試験の試験監督でした。

試験監督といっても、テスト問題を配って、

受験している生徒に困ったことが起きないか、見守っているだけです。

不正行為の心配はほとんどありません。


教卓のそばに座ったりしてますが、ひまです。

困っていると、教卓の中に「全国大学広告一覧」という本が(ノ゚ο゚)ノ。

現高校3年生には1つの授業を担当しているだけなので、

進路相談を受けることはほとんどありませんが、

担任している中学1年生や、私の子ども達が進学する頃のことを

思い浮かべて、読み始めました。


この手の受験年鑑誌、数多くあるのは知っているし、

これまでも数十冊、手に取ってきたが、

「頭から1ペ-ジ、1ページ読む」

というのは、はじめてかもしれない。

失礼だが、この20~30年間の受験の変化がよくまとまっていた。

「へぇ~」と思うこともあった。

大学全入時代

(大学を選ばなければ、受験生はほとんど入れるという、受験者数と定員の問題)

も、グラフつきで推移を示して書いてあった。

他にも、けっこう、要点をついた文面と表のバランスがよく載せてあった。

共通1次試験の導入、国立大学の複数回受験導入の経緯、

各大学の抱える問題・本音と施策、センター試験導入、その後の受験の世相…。


とくに国立大学の変革は、

まあこういう職業にいるので、毎年毎年、情報は手にはいるわけですが、

それでも10年、20年という単位で見てみると、

「そうか、やはり優秀な生徒がほしいんだな」

という施策の変化が見てとれます。

具体的にいえば、1990年前後は、

共通1次末期・センター試験導入期ですが、

国立大は私学型の3教科入試を後期試験などで導入し、

これまで私学に流れていた受験生をとるようにしました。

ところが90年代も後半になると、「大学生の基礎学力不足」が顕著になり、

その3教科型受験を縮小、あるいは廃止し、また5教科・6教科7・8科目を課す、

というようになってきました。

優秀な人材確保という大義名分の元に、世相を見ながら、

試験制度という波が大きく揺れています。


私は、うちの生徒には、

「自分が勉強したいことを見つけろ。

 それが一番だ。そしてそれが出来る大学を選べ。

 選んだら入れるように勉強しろ。そうすれば勉強は苦じゃないよ。

 むしろ勉強したくなる。

 何か特別な才能があるなら、それを活かせ。

 音楽、スポーツなど。いま話題の『お笑い芸人』だっていい。

 自分の情熱の発露に忠実に。どの道だって、楽ということはない。

 成功するには、才能だけでなく、それなりの努力が必要だ。

 もし自分の内面に、『なにかを学びたい』という気持ちがないなら、

 仕方ない。それを見つけるためにも勉強しろ。

 その場合は、出来るだけ難易度(偏差値)が高い大学を目指せ。

 学部も、文系なら法学部・経済学部、理系なら工学部など、

 定員が多いところを受けろ。

 大学には申し訳ないが、無難な道を選択し、そこでまた次の選択をしろ。

 でも理系だと工学部でも細かく学科に分かれているから、

 選択については注意が必要。情報を得て、自分が興味を持てる分野へ進め。

 この科学技術が発達した社会。技術に関する勉強は、毎日毎日発展してる。

 おおざっぱに言い方をすれば、どれを学んでもためになるし、面白いと思う。

 でも毎年、工学部では、ミスマッチで大学を辞める生徒も多いと聞く。

 決して『偏差値』だけで選ばないように。」


自分は田舎者だったので、1990年、社会に適合して生きていけるように、

進路選択をした。それでも現時点で自分が最大に興味を持てるものを、

ということで「数学または物理」という理学を選択した。

でも、大学入ってから辞めたくなった。

紆余曲折したが、そう思っても仕方がない弱さが自分にはあったし、

それから結局辞めずに、信念の赴くまま、現在に至っていることを

もう後悔することはない。


うちの生徒たちは、いい子が多い。

親も、子どもからすれば、「お父さん、カッコイイ!」と思える職業の方が多い。

またその分、子どもはプレッシャーを受けるだろうし、

実際に過度に、子どもにプレッシャーをかける母親も多い。


いま目の前でテストを受けている高校3年生は、どんな進路選択をするのだろうか?

勤める学校の営業成績を上げるために

(つまり、有名大学への進学実績を上げるために)、生徒に向かって発言したこともある。

でも、もうそれはやめた。

「君は君らしく」

社会や政財界で活躍できる、有能な人間を有名大学におくればいい時代では、もうない。

この、既得権を守るために不公平や不正があふれる社会を、

更新していくような人材をもう社会に放り出しては行けない。

心を育て、創造的な人間を送らねば。


本を読みながら、わが子のことを考えた。

お姉ちゃんはダンス、弟くんはサッカーに夢中である。

大学までは行かせたい。

近所(通える範囲)にどんな大学があるだろう。

学費はいくらだろう。

できれば子ども達にも、次世代の心と技術を育てる人間になってほしいし、

それを学びに大学に通ってほしい。


この年鑑に書いてあった。

「物価の上昇よりはるかに速い速度で、私立大学の学費は値上がりしている。」

頑張らねば。

でも、この国はおかしい。公教育にお金がかかるなんて。