ここの病棟面会時間は13時から17時だ。

携帯もTVも就寝時間以外自由に見ていいのだが、目や身体がすぐ疲れてしまうので見る気が起きない。

その為外の世界の情報などは家族との会話が唯一の情報源だ。


自販機が病棟にあるのだがやはり毎日のコストを考えるとスーパーで購入した方が安いので妻がミネラルウォーターと麦茶を箱買いしていて必要本数持参してくれる。仕事が遅くなる時は来れないがほぼ週3くらいの頻度で必要な消耗品を持って来てくれる。

週末には娘達が面会に来て孫達の動画を見せてくれる。まさに希望の光 生きる力だ。


相部屋なので面会には談話室を利用する。

しかしふと思ったがいつも面会に来るのは私の所だけである。私の部屋は談話室の隣にあるので利用していれば話し声で状況が把握できる。


同室の入院患者さんが退院のお話しをドクター達とされている。「お迎えはどなたかいらっしゃいますか」との質問には大半の方が「誰も来ない タクシーで帰宅」と答える。あの窓空け患者も一人で荷物をまとめていた。食事にケチつけるちょっかい爺さんも「子供達はいるが入院期間中電話一つよこさん」と看護士にボヤいていた。こちらもバスで帰るらしい。

まあ病状が軽いという理由もあるだろうが、退院して誰もいない家に帰るのはやはり寂しいだろう。

比べるのは申し訳ないが私は恵まれている。家族に感謝しきりである。


日本経済新聞の記事によれば 【国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が12日発表した世帯数の将来推計によると、1世帯あたりの平均人数は9年後の2033年に1.99人と初めて2人を下回る。高齢化も進み、50年には65歳以上の一人暮らしが1083万人と20年比47%増加する。】とある。


今回の私のような突然の不調に襲われたらどうなるのか。いや私も妻も年々歳を重ねていくうちにずっと健康である保証はどこにもない。娘達にもそうそう頼ってばかりはいられない。まさに身近に迫る切実な問題だ。


人間、健康な時にはそんな事を微塵も考えなかったがこうして目の当たりにすると背筋が冷たくなる。


結婚をしない生き方、何らかの理由で独り身になった方、個人の境遇は様々だろう。しかし人間一人では生きていけない。


地域の見守りなどのコミュニティの大切さ、保険、行政や公的制度の活用などあらためて向き合っていく年齢になったようだ。