「おい!待たんか!」
「やだ。蓮二と帰ればいいじゃないか」
そう言うと幸村は真田の手を払った。そして、そのまま去っていった。真田はどうしていいかわからず、立ち尽くしていた。後ろから赤也と仁王がイタズラをしたことにも気付かなかった。
***
次の日
「おい、幸村。今のは速すぎるんじゃないか?」
朝練のサーブカットの練習中、いつもよりも速いサーブを打った幸村に真田が注意する。
「ああ、そうだった?なら、真田がやりなよ」
そう言って、幸村はその場を去る。そして、仕方ないといった様子で真田が打ち始める。
「弦一郎、精市はどこだ?」
柳に声をかけられる。わからないといった素振りで答える。
「知らないな。蓮二のところに行ったのかと思っていたのだが…」
「そうか…邪魔したな。続けてくれ」
そう言うと、柳は柳生の方に向かって行った。それを確認し、サーブを打ち始める。
***
「真田くん、先程のノートを見せていただけますか?」
1限の後に柳生が話しかけてくる。どうやら、先程の授業の黒板の文字で見えないものがあったようだ。
「ああ、俺ので良ければ」
柳生にノートを渡すと、柳生は真剣な面持ちで言う。
「あの真田くん、幸村くんと何かあったのですか?」
「うむ…俺にもわからんのだが」
「そうですか。早く原因を究明して、解決できるといいですね」
「…そうだな」
そう言って、考えてみるがやはり原因はわからなかった。昼休みに柳のところへ向かい、相談をした。
「なぁ、何か知らないか?」
「知らないな。本人に直接聞いてみたらどうだ?」
「うむ…話しかけると、避けられるのだ」
「打つ手なし…か」
随分考え込んだ様子で柳が言うので、真田は不思議に思えた。
「何故だ?打つ手なしとは…」
思わず聞いてみた。あの柳が、参謀と呼ばれる程の男が…。よほど難しい問題だったのだろうか。
「ふむ。だって、何か聞いているとしたら一番関わりの多い人間だろう?精市と一番関わりの多い人間は弦一郎だからな」
「む…、そうだな」
すると、柳は閃いたように言った。
「俺が聞いてこよう。お前には言えないことかもしれないからな」
「あ、ありがとう。助かる」
「今度、俳句作りに付き合ってくれよ」
「俳句!?…ああ」
そう言い残して、柳は去っていく。その後ろ姿を眺めることしかできなかった。
***
放課後、風紀委員があるため部活に遅れることを幸村に言いに行くと、幸村は教室にいなかった。そこに、たまたま通りがかった柳にその旨を伝える。
「承知した。だが、これからはあまり俺に話しかけない方がいい」
「どういうことだ?蓮二」
すると、柳は真田を無視して去って行った。現状に取り残され、しばらく考えていたが、委員会を思い出して急いだ。
「珍しいですね。真田くんが遅れるなんて」
席に着くと柳生が話しかけてきた。不思議そうにこちらの様子を伺っている。
「まぁな。幸村と蓮二について何か知らないか?」
「え?柳くんも、ですか?柳くんについては知りませんが…幸村くんなら、『真田の浮気者』と言っていましたが」
「幸村が?俺が浮気をしていると?」
「え、ええ」
そして、その事が気になり委員会どころではなくなっていた。委員会が長引いて練習には出られなかった。しかし、部日誌の当番が自分だったのを思い出して部室に向かった。
「ゆ、幸村?」
「あ…真田」
部室に入ると幸村が部日誌を書いていた。いつもなら、真田に任せるような幸村が書いていた。
「どうしたんだ?いつもなら書かないだろう?」
「べ、別に。ただ、真田は今日は練習に来なかったから書けないだろうと思って」
ちょっと照れながら幸村は答える。
「そうか。ありがとう」
「ふんっ。何だよ、今さら…」
幸村は落ち込んだ様子で呟く。独り言のように。
「幸村、聞きたいことがある。最近のそのような態度は何だ?」
「何だ?じゃないよ!お前が俺を裏切ったんじゃないか!なのにっ…」
幸村は泣き出した。例え、どんなに辛い時でも泣かないあの強い男が泣き出した。真田は動揺しながら、幸村に聞く。
「どういうことだ?」
「自覚なし…か。バカみたいだな、俺。一昨日だよ。真田がずっと、柳のところにいるから…話しかけても無視されるし…」
「幸村っ!それは、誤解だ!」
思わず、大きな声を出してしまった。幸村は、それを見て軽く笑った。
「誤解?」
「あ、ああ。その…蓮二に言われたのだ。幸村にべったり過ぎる、だから練習のミスも増えるとな。だから、蓮二と一緒にいるようにしていたのだ。無視はしていないはずだ」
「ふっふふふ。なぁんだ、そんなことか!」
「幸村?」
「わかったよ。俺の勘違いだったんだ。もう、気にしてないから安心して!」
「ふむ、そうか!では、一緒に帰ろう」
「もちろん!」
幸村は不思議なくらい笑っていた。それと同時にとても幸せそうな顔をしていた。そして、喧嘩?の後なので真田も久しぶりに見る幸村の笑顔にほっこりしていた。
「たまには喧嘩も悪くないな」
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はい!お疲れ様でした!
T&Bはキツかったので断念!
一番作りやすいテニプリで作りました(笑)
こういう話が好きなんです♪
ありがとうございましたm(_ _)m