この4バンドには数えられてはいないものの、関西で絶大な人気を誇るバンドがあった。
それが、 ラフィンノーズ である。
黎明期の2大オムニバス・アルバム、ドグマの「OUTSIDER」と徳間の「GREAT PUNK HITS」の両方に参加しているのは、ギズムとラフィンノーズだけである。このことからも、その人気が伺えるであろう。
AA records なる自主制作レーベルを立ち上げ作成した1st EP「Get The glory」は1000枚即日売り切れの記録を打ち立てる。その後 1st LP 「Pussy for Sale」も売れ行き絶好調。その後に発売した伝説のオムニバスレコード「ハードコア不法集会」に至っては当時だけで6000枚以上(8000枚以上という情報もある)も販売するなど、驚異的な売上であった。
現在で例えると、Youtubeに動画をアップしたその日に100万再生した・・・ とかだろうか?
インディーズシーンの異常な盛り上がりをメディアがほおっておくはずもなく、月刊「宝島」を中心に様々のメディアにインディーズバンドが取り上げられていった。その中でもラフィンノーズ・ウイラード・有頂天は「インディーズ御三家」と称され、特に注目を集める存在でありシーンを牽引していた。
様々なインディーズバンドがいる中でもラフィンノーズいやチャーミーは、セルフプロデュース能力がずば抜けていた。そもそも一般にも受けが良くするために「チャーミー」と言う可愛らしい名前に改名したと言うのだからすごい。
話題作りも天才的で、新宿アルタ前のソノシートバラマキ事件などは大手の写真週刊誌にも取り上げられていた。
チャーミーはSAKEVIとの共同プロデュースで雑誌「P.O.W.」を創刊したりと、日本のパンク界の広報活動の中心にいた。
ラフィンノーズの人気は留まることを知らず、1985年11月にメジャーデビュー。その後、全国デビューツアーを始めるのであった。
デビューツアーでラフィンノーズが広島に来た時、見真講堂でライブをやった。ここは、モッズやARBレベルの中堅ロックバンドがよく使うホールであり、若手のロック系アーチストの多くはライブハウス(広島ウッディストリートとか)が多かったので、なかなかの待遇と言えよう。
この時、ラフィンは地元プロモータにわざわざ挨拶に来て色々と話をしていた。珍しく社長に気に入られ、「次回はもっとでっかい会場でやらしたるわ」などと破格のお言葉をもらうのであった。偶然にもその場に居合わせたが、とにかくチャーミーは売れるために必死で、ここまでするのかとその行動力に驚かされた。詳しくは書けないが、当時のチャーミーにはパンクのパの字も無い。マルコム・マクラレンとジョニー・ロットンの役割を1人でやっているようなものである。
パンクスはシド・ビシャスのようにありたいと思っていたパンク小僧にとっては衝撃的で、大人の現実を見せられて愕然としたものだ。映画「さらば青春の光」でみんなの憧れのスティングがホテルのボーイとしてヘコヘコして働いているところを見てしまい、主人公がスティングのベスパを盗んで海に捨てるシーンがあるが、まさにそれである。(ちょっと分かりづらいか・・・)
メジャーレコード会社と契約する時のカッコいい逸話をどこかで読んだことがあるが、そのような話は全く信じられない。いささかDisり気味で書いてしまったが、当時のパンク小僧の率直な感想である。バンドが売れるというのは綺麗事だけではないのだろうが、当時のパンク小僧には見ていられない醜態であった。
そんなラフィンは、ものすごいスピードで売れまくった。正に「Get The Glory」、しかしその栄光は長くなかった。1987年に日比谷野音での不幸な事故があったり、過熱していたバンドブームが一気に冷めて行く中、人気が衰えていったのだ。野音の事故がなければ、もっと売れて違う風景があったのかもしれないと思う。GISMやハナタラシのライブでさえ死人は出てないのに、まさかラフィンのライブで悲劇が起こるとは・・・。世の中はわからないものだ。
インディーズブームから30年、インディーズ御三家の内、ラフィンとウィラードは現役バンドとして活躍している。有頂天は無くなってしまったが、ケラはケラリーノ・サンドロヴィッチとして日本演劇界で大活躍し、まさかの紫綬褒章受賞である。
ハードコア界の出世頭として、ラフィンノーズには今後も頑張って欲しいものである。
あ、ウイラードもね。(笑
余談だが・・・
話はラフィンの広島ライブに戻る。話題のパンクバンドのライブということで、プロモーターが警備を厳重にするために普段の倍ものバイトが雇われることになり、私もこの警備のバイトに駆り出された。当日、警備のバイトのミーティングに行って驚いたのは、パンクのGIGで見かける連中が沢山いた事だ。「毒を持って毒を制す」である。
にわかパンクの中高生で溢れる会場であったが、少しでもイキって前に出てこようものなら、本職(?)パンクの連中と一緒になってにボコボコにして摘み出していた。当日の会場警備はまさに完璧。何のトラブルもなく無事終了した。客をボコボコにしても怒られるどころか、バイトリーダーから褒められたのはこのバイトだけ。金一封までもらった。夢のようなバイトであった。(笑