『村を守った
きょうだいの力』
ふたこぶ山の谷あいに、小さな村がありました。
村には四人のきょうだいがいて、村を守っておりました。
一人はたいへん頭がよく、一人は走るのがとても速く、一人は力持ちでした。
ところが、小さいヤンヤーだけは、とくべつな力が、ないようなのです。
そればかりか、体が弱く、走ることができません。字を読むのもにがてでした。
村の人は言いました。
「ヤンヤーには村を守れない」
「まったく役に立たないな」
「けがでもしたらいけないから、外には出さない方がいい」
小さな体を、さらに丸めて、ヤンヤーは下を向きました。
けれども、ヤンヤーはとことこ歩いて、いろんな所に、出かけていきます。
しめったくもり空の夕方には、としをとったクマのねどこに行って、そっと、こしをさすってやります。
「やさしいヤンヤー。いたいところが分かるんだね」
山鳥のひなが生まれるときには、すから落ちた子が、いないかどうか、さがして歩いたりしています。
「ヤンヤーには、たまごがかえったことがわかるんだね」
ヤンヤーは何も言わないけれど、いつも何かを聞いているようです。
風の音や、雲の音、太陽がのぼる音や、夜になる音、そしてみんなが心の中で、そっとつぶやくなげきの声を、ヤンヤーは聞いているようでした。
はげしい雨がばたばたとふり、もう何日も日が出ません。
やっと小ぶりになった時、ヤンヤーは出かけていきました。
いっしょうけんめい歩きました。
とても、急いで歩きました。
何度も、何度も、ころびながら、おいぼれクマのところに行きました。
クマはすでに、いませんでした。
あわてて、川まで行きました。
いつもはのんきな、さわガエルたちも、一ぴきのこらずにげ出していました。
山鳥もいません。
野ウサギもいません。
ヤンヤーはなきながら、木をかき分けて、山のしゃめんへ出てみました。
ふたこぶ山の高いほうの、ちょうじょうをじっと見つめながら、山の声を聞きました。
「山がくずれる」
ヤンヤーが、こきざみにふるえながら、三人のきょうだいを外につれ出して、山をさして泣いています。
「山のてっぺんがくずれそうだ。きっと東にどしゃがながれる。西へみんなを、にがさなければ!」
「それじゃ、あたしが村じゅうを走って知らせに行く!」
「ぼくは、病人たちを、助け出す。何人でも、かかえられるぞ」
村人が、やっとこ、にげ出したとき、
ごうごうごうん!と、山がうなり、どしゃと大木がながれ落ち、谷あいの村はうまりました。
村人はみんな、ぶじでした。
四人のきょうだいの、だれがかけても、村人を守ることはできませんでした。
四人は、さらに努力をして、それぞれの力をみがきました。
ふたこぶ山の村人たちは、四人をほこりに思いました。
おわり







