『真心のこもった
ひえのごはん』
明るい太陽の日ざしを浴あびて、きらきらとかがやくおやしきが、たっていました。
たくさんの人たちがおやしきに向かって歩いていきます。
「はやくアナリツさまに会いたいな」
みんなは、アナリツに会うために、列をつくっているのです。
その半数はアナリツに宝物をかりるため、のこりの半数はかりたものを返すために、おやしきへと進んでいたのです。
小さな男の子が、お母さんにたずねました。
「どうしてアナリツさまは、たくさん宝物を持っているの?」
そのかわいらしい声をきいたおじいさんが、ふりむきました。
「アナリツさまが持っているのは、宝物だけじゃないんだよ」
そばにいたおばあさんも、言いました。
「うちゅうのすべてを見通せる、ふしぎな力も持っているのよ」
おとなたちが、それぞれに
「けっして貧乏にならない」
「なんでも思い通りにできる」
「りょうをしなくても、えものを手に入れられる」
と、アナリツのすばらしさを語りました。
ふしぎそうにしている男の子を、お母さんがだきあげました。
「アナリツさまは昔、真心のごくようをしたので、今とても豊かなのよ。それにごくようはね、だれにしてもいいわけではないの。ごくようする相手をまちがっていては、真心であってもむだになってしまうの」
アナリツは昔、この世にまずしい者として、生まれてきたことがありました。
その年は雨がふらず、草も木もかれ、みのりをえることができません。
りょうに出てみても、何もつかまえられないのです。
たくわえていたものは、そこをつき、とうとう小さなうつわにひえのごはんが少しのこっているだけになりました。
「さあ、これがさいごの食事だ」
その時、声がしました。
「食べ物を分けてください。なにか、食べる物を・・・」
見ると修行者がたっていました。
「私は、もう七日もたべていません。おなかがすいて、たおれそうです。あなたの食べ物を、分けてください」
すぐさま、ひえのごはんをさしだそうとしましたが、そのうつわがあまりにもみすぼらしかったので、手が止まってしまいました。
「あなたのような方に、このようなうつわでごはんをさしあげては、かえって失礼になってしまいます」
もうしわけなさそうにうつむいていると、
「あなたにとっての、さいごの食事を、私にくださろうとしている。ありがたいのは、その真心です。どのようなうつわでもかまいません」
と、修行者が言いました。
「それではどうぞ、めしあがってください!」
ひえのごはんを食べると、修行者は深く頭をさげて、立ち去っていきました。
修行者を見送ったあと、なんとか食べ物を見つけようと、野山にでかけていきました。
すると背中に、うさぎがとびついてきました。
家に持って帰ると、うさぎは人の形をした金のかたまりになりました。
この金を少し売り、そのお金で食べ物を買うことができました。
ふしぎなことに金のかたまりは、切っても切ってもへらないのです。
「あの時、修行者にひえのごはんをさしあげたくどくで、このような金を手に入れることができたのだ!」
小さな男の子は、丘の上を見ながら、
「アナリツさまのおやしきは美しいね。真心も美しいね」
と、お母さんに言いました。
おわり






