今は米国西海岸時間の1月15日午後5時、今日はMLK(マーティン・ルーサー・キング・ジュニア)、アフリカ系アメリカ人公民権運動の穏健派指導者で非暴力差別抵抗活動を指導したキング牧師の誕生日である。一方で今日はアイオワ州では今年秋の大統領選に向け、共和党は候補者を選ぶ最初の州として党員集会が始まっている。この今日というタイミングがを皮肉に感じるのは自分だけだろうか。前回の大統領選で「盗まれた選挙」と主張し、結果的に一部の支持者が国会議事堂に乱入し占拠した上、死亡者も出した暴動のきっかけであるトランプ氏が、アイオワ州でも半数以上の支持を集めていると、多くのメディアが報じている。

 

共和党の大統領選挙の歴史を振り返ると、面白い事実が見えてくる。歴史的にアイオワ州の党員大会は他州に先駆け行われるため、各候補者の優劣を占う一つではあるものの、1976年以降行われた12回のうちで、得票数の多かった候補者が大統領に最終的に選出されたは5回だけである。今回を除くと、全ての候補者の中で過半数を得たのは2020年のトランプ氏だけであり(驚異的な97%)、その点でもトランプ氏が過半数をとった場合は今回も共和党候補者として確実視されるといえよう。ただ、果たして確実に共和党の候補者に選ばれるかはどうだろう。日本を含め多くのメディアがあたかもバイデン対トランプを当然のように伝えているが。。。

 

米国大統領選挙を党レベルで州での選出プロセスにまで細かくみると、必ずしも多くの米国人にとっても詳しく理解出来ているとは言い難いかもしれない。アイオワ州では共和党自身が運営する党大会の党員集会で行われる得票数に応じ候補者を推薦する代議員を獲得する。その次のニューハンプシャー州では州政府が運営する予備選挙で無記名投票で代議員を獲得する。また州によっては、今年の選挙では共和党(または民主党若しくは無党派)として投票すると登録することでこれまでの所属の党とは違う党員集会や予備選挙に参加し投票することも可能である。正に今NBCが伝えているところでは、少数ではあるがもともと民主党や無党派であった人が、今回は共和党員としてこのアイオワ州の党員集会で投票をしている模様を伝えている。

 

アイオワ州でトランプ氏がトップで通過するのは間違いないが、過半数をどこまで超えられるか。昨年末までは間違いなく第二位で通過すると考えられていたデサンティス氏は果たして第二位で通過できるか、若しくはニッキー・ヘイリー氏に後塵を拝し第三位になるのか。もしそうなった場合デサンティス氏はニッキー・ヘイリー氏にどの程度引き離されるのか。またヘイリー氏はトランプ氏にどこまで肉薄できるのか。ニッキー陣営の戦略は、アイオワ州ではデサンティス氏をできる限り引き離し、確実に第二位のポジションを確保することであり、その勢いでニューハンプシャー州(昨年秋に大統領選に出ると噂され、かつ州民の支持率が高いスヌヌ州知事がヘイリー氏への支持を表明済み)、そして自身が州知事を務めたサウス・カロライナ州で、一挙にトランプ氏に肉薄することが狙いであろう。

 

多くの世論調査では、過半数を超えるアメリカ市民が望まないというバイデン対トランプの大統領選に至るのか、先ずは今日から1月23日のニューハンプシャー州予備選挙の結果まで、現在のアメリカ共和党支持者たちがどのような選択をしていくのか、興味深いところである。