　先日の🍕パーティで、K社がの誕生日祝いにケーキをくれました。そうなるとも知らぬ存ぜぬはできません。坐骨神経痛のため、の担当である食器洗いが困難な状況が続いていて、に借りができてしまっています。そんな借りを少しでも返すべく、徹底的な花より団子主義のに天ぷらをご馳走することにしました。え、私が揚げるのかって？そんなはずないじゃありませんか。

　確かに天ぷらは家庭でもできますが、玄人と素人では技量や使用する油の違いで結果に大きな差がつく料理であること、揚げ手は料理をするだけでおなか一杯になってしまうことという理由から、外食する意味は大きいのです。ということで、最近偶然見つけた天ぷら専門店へ1月21日のお昼におじゃましました。はもちろん、も行ったことのないお店で、不安と期待が入り混じります。

　お店は群馬県東部の畑と散在する住宅以外は何もないような場所にひっそりとあります。街道沿いでもなく、目立つ看板もありませんし、店の佇まいは普通の住宅とさほど変わりませんので、通りすがりの客はまずやってこないでしょう。玄関ドアを開けるとやはり普通の住宅のような玄関ホールとトイレがあり、内扉からさらに中に入ると6席ほどのカウンターと個室があります。カウンターの向こうにいた年齢不詳（推定40代前半）の店主に迎えられました。

　お昼のコースを予約していたので、早速始めてもらいました。店内に入った瞬間、油の嫌なにおいや、床のべたつきが全くなく（靴を脱いでスリッパも履かない）、この店は当たりだと確信しました。カウンターで店主の蘊蓄を聞きながら食べる天ぷらは、結論から言うと、今まで食べた中で最高のものでした（味も値段も）。コースでしたので、天ぷら以外にもマグロの漬けや茶わん蒸しなども出ましたが、いずれもが群を抜いています。食材を厳選していることは間違いないのですが、ブロッコリーやゴボウ（野菜は県内産）がこれほど美味しく料理できるとは、ただただ驚嘆するばかりでした。

　天ぷらは天つゆの他に塩で食べることがあるかと思いますが、私はこれまで天つゆ一筋でした。しかし、塩とともに出されたレモンが瀬戸田産と聞いて、レモン塩を試す気になりました。昨年、瀬戸田（生口島）にツーリングに行き、そこのレモン畑を見てきたばかりだったからです。試したところ、これがまた絶品。今更ながら、天ぷらの新しい食べ方を知りました。

　他の常連のお客さんのオーダーでアナゴを揚げていましたが、店主に言わせると、捌いてから3時間以上経過したアナゴは揚げる価値がないらしいです。そんなの物理的に無理だろうと思っていたら然に非ず。奥から生きたアナゴを持ってきたかと思うと、物凄い手際の良さで捌いて揚げていました。しかも、アナゴを揚げる前に、油と衣液を全交換するこだわりよう。それほどアナゴ天とはデリケートなものだと言います。

　そんな種なので、アナゴは事前リクエストが必須ですし、完全予約制というのも頷けますね。今回はアナゴを賞味することはできませんでしたが、食べたらおそらくアナゴ天の概念が根本から覆るのではないかと思います。店主のこだわりの半端なさから、自分のやりたいことを貫きたくて独立したと拝察し、これはK社に通じるものを感じました。への点数稼ぎのつもりでしたが、それ抜きに再訪したいお店になりました。絶対的な価格はそれなりにしますが、おそらく都内ならその倍は下らないでしょう。群馬の田舎で営業してくれていてありがたいです。

誕生日は天ぷら