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JRの高架に伴いあの踏切が消えたのは、昨年の暮れのこと。
以前の渋滞もなくなり、イライラを起こすこともなくなった。
でもさびしいのはあの事件の思い出だ。

今から30年ほど昔。
この踏み切りには夕方近くなると学生や帰宅途中のサラリーマンが多く見られたものだ。
時代が変ったと感じるのは、その頃まだ明るい時間帯からほろ酔いで帰宅するサラリーマンも多くいたことだ。

この日もいつものように夕方本数の増える汽車で混雑していた。
そこへ居たのがヘベレケに酔ったおっさん。
降りてきた遮断機が頭へガツ~ンと当たって倒れたかと思うと、怒った様子で叫んでいた。
誰やぁ!こんな所に棒置いとんのは~!」 
これが正気だったのか判らないが真剣な表情だったため、おそらく照れ隠しではなかったと思う。

誰やぁ!こんな所に棒置いとんのは~!」??
明るいうちから正気を失うほど酒を飲み、自分に全く否がないように責任を人になすり付ける様子が滑稽であり、また、とても平和さを感じた。
こんな所って?いったい何処だと思っているのか?
第一このおっさんが判っちゃいないではないか!

今でも私はこの踏切を通る度に、このセリフを思い出す。
しかし、この踏み切り今はもう動いていない。

数年後、KBS近畿放送(現KBS京都)「日本列島ズバリリクエスト」、ズバリク(後のハイヤングイレブン、ハイヤング京都)火曜日DJ桂文珍の「たまにはおるで、こんなヤツ」(だったかな?) のコーナーに投稿してハガキが読まれた。
ボキャブラない私の投稿を色付けてうまく話してもらったのが印象だ。

今でも私はこの踏切を通る度に、あのセリフを思い出す。
そして、あの時の踏み切りの映像もはっきりと覚えている。
空はギターペイントのCMのような夕焼けの色をしていた。  小学5年 夏休み