星空の片隅で 2 ~スターダム、見参!!~ | 団塊Jrのプロレスファン列伝

星空の片隅で 2 ~スターダム、見参!!~

どうも!!流星仮面二世です!!
 
さあ、ということで遅くなってしまいましたが6月4日に茨城県水戸市にありますリリーアリーナMITO(旧・水戸市民体育館)で行われましたスターダム「5★STAR GP 2022 予選リーグ開幕戦」の観戦記、本編でございます。

生観戦、久しぶりです。2020年1月5日の新日本プロレスの 「WRESTLE KINGDOM 14 in 東京ドーム」以来2年半ぶり。女子プロレス観戦においては2005年3月26日に茨城・石岡市運動公園体育館で行われましたAtoZの「AtoZ SPECTACUAR TOUR 2005」以来、約17年ぶりということになります。さらに水戸市民体育館は2018年11月28日に行われました新日本プロレス「WORLD TAG LEAGUE 2018」以来、3年半ぶりになります。

その水戸市民体育館ですが、ボクが最後に観戦した翌年の2019年4月より名称がリリーアリーナMITOと改められています。

こちらです

建物は変わっていないのですが大きく名前が入りまして、新鮮な感じが伝わってきます。

さて会場です。客層なんですが、これがですね、圧倒的に男性ですね。年齢層はそこまで若い方は多くないですね。中年層が多いです。しかしボクなんかより年上の方も見えますので幅広いといった感じです。そのファンは好きな選手のTシャツやタオルですね、身に付けている方も多くいますが、意外なことに新日系のTシャツを着ている方が何人かいらっしゃいました。スターダムの試合は新日本の東京ドームで行われたこともあるそうなので、このあたりは新日本から流れてきたファンなのかもしれないですね。

しかし男性ファンはこうして目につくんですが、女性ファンは少なめに感じます。女性同士や親子。中には祖母、娘、孫と、全員女性というご家族もいらっしゃったのですが、比で言うと、そうですねぇ・・・8:2くらいといった感じに見えましたね。

この日はコロナ対策ということもあり2階席は閉鎖。1階もイスをひとつ空けての座席配置となっていましたが、しかしながら用意された席はほぼ満席となっていました。

空席はほとんどなかったです

今の現状でこれはすごいことですよ。この段階で恐るべしはスターダムを感じました。

それでは試合です。
 
第1試合 5★STAR GP 2022 予選リーグ 10分1本勝負
壮麗亜美vs天咲光由
壮麗(7分31秒 片エビ固め)天咲

さあ記念すべきスターダムの初試合観戦は壮麗(そうれい)選手と天咲(あまさき)選手の試合です。

この試合は序盤は手探りから静かに始まって、だんだん動いていくという・・・つまり試合開始からクライマックスまで右肩上がりでの試合展開を見せたんですが、これですね、10分1本勝負でこうできるのはすごいですね。上手いですよ。これは感心しました。

しかし、対して両者とも動き、技、動き、技の、この動線が一緒だったんですね。これはちょっと残念だったなと感じました。たとえば走っていって相手に打つ、という動作で言えば、走る速度と打つ速度が同じなので、どうしても単調に見えてしまうんですよ。走っていったら打つインパクトの瞬間は機敏にするとか強く当てるとか、などですね。こう線から線でなく線から点に、というような、そういう動きのメリハリですね。あればもっと映えるんじゃないかなと感じました。

この天咲選手はスペース・ローリング・エルボーからドロップキックといういいムーヴしたんですが、このあたりにメリハリつけたらもっと映えて「おお!!」ってなりますよ。おそらくまだ若手なんじゃないかなと思うんですよ。だったら、逆に若手だとしたらこの試合運びは素晴らしいのでメリハリ、技のインパクトの瞬間ですね。これが発揮されていければいいと思いました。壮麗選手は体型、風貌が本当にいいですね。身長もあり細くなく太くなく、でもしっかりした体つき。まさに"女子プロレスラー体型"なんですよ。なので、もっとダイナミックに、おもいっきりやってほしいですね。第1試合から大満足でした。

 
第2試合 5★STAR GP 2022 予選リーグ 10分1本勝負
月山和香vs吏南
吏南(5分31秒 体固め)月山

この月山選手はですね、Twitterでアル・コステロの本家オースイ・スープレックス、投げるのではなくローリングするやつですね。昔マイティ井上も使っていたことある、あのオースイ・スープレックスです。これをやっていた映像を上げている方がいまして、それを見まして知っていました。で、そのTwitterのときのそのシーンがですね、普通のレスラーなら試合の流れから本能的にタイガー・スープレックスにいってしまうタイミングなんですよ。でもそこであえてオースイを出すのか!!という絶妙さで、思わず唸ってしまい、この選手には興味が湧いたんですね。
 
この日も「出るかな?」と期待していたところ、オースイ・スープレックス見せてくれました。うれしかったです。あと、いやぁ~驚きましたね。相手におんぶして何するのかと思ったらキン肉マンでウォーズマンがやっていた型のパロ・スペシャルですよ。これは厳密にはリバースになるわけですが、これも見せまして驚きました。おそらく女子プロレスラーでパロ・スペシャル使った人は、これまでにいないんじゃないんですかね?この着眼点ですね。他の人がやらないことを実行するというのはすごいことですよ。見えないところですごい研究と努力しているんだろうなと思いました。聞いたところデビュー1年半にして30歳なんだそうなので、この1、2年が勝負なんじゃないかなと思います。がんばってください!!

 
第3試合 5★STAR GP 2022 予選リーグ 10分1本勝負
妃南vs琉悪夏
(時間切れ引き分け)

いやぁ~これはですね、琉悪夏(るあか)選手ですが、懐かしの極悪同盟を彷彿させる風貌、体型でよかったですね。

しかし試合は琉悪夏選手、妃南(ひな)選手共々、やはりメリハリ、技のインパクトに欠けるかなぁ・・・そんな印象受けました。特に琉悪夏選手は見た目より試合がおとなしかったかなぁと・・・ヒールなんですから、もっといろいろやっていいと思うんですけどね。見てる人を腹立しくさせるような攻撃ですよね。そうすれば相手も光るわけですからね。そういうインサイドワークがもっとあってもいいんじゃないのかな?と思いました。


第4試合 3WAYマッチ 15分1勝負
コグマvsAZMvsウナギ・サヤカ
(6分53秒 三者リングアウト)

これは試合前にウナギ選手が英語禁止マッチとしたいとマイクアピールしたのですが、最初意味がぜんぜんわからなかったんですよ。何のことを言っているのかな?と思ったら試合中に「カウント」とか「フォール」とか英語を言ってはダメで、言った場合には試合止めて都度ハリセンやピコピコハンマーでお尻や頭をひっぱたかれるというもの、でした。

いざ試合が始まるとレスラーだけでなく、ゆくはレフリーも巻き込んで展開されて行き、とにかく楽しすぎて会場は大きく沸き返りました。これは本当におもしろくてボクも笑わせてもらいましたが、見てたら途中でフッとあることが思い出されたんですよ。この試合での間の使い方や会場の煽り方、どんな人が見ても楽しめるというこの内容。そうミゼット・プロレスですね~。彷彿させましたね。レフリーもどことなくジミー加山っぽくて、ちょっと懐かしさも感じられるいい試合でした。
 
しかし!!この試合、楽しさに特化したという、そればっかりではありませんでした。この試合から選手のポテンシャルが一気に上がりましたね。特にコグマ、AZMの両選手。起き上がる、ロープに飛ぶ、走る。こういった単純な動きなんですが、この試合より前の試合に出ていたレスラーとは瞬発力が全然ちがいますね。機敏です。動きと技のメリハリもあり映えていました。特にコグマ選手「森のくまさん」で入場してきては、ぽっちゃり体型。かわいいクマのポーズなんか取ってて一見すると穏やかに見えるんですが、動いたらリアルに「熊」ですね。何かベルトを持ってきていましたが、それだけのことはあるんだなと頷けました。

 
第5試合 タッグマッチ 15分1勝負
葉月、向後桃vsジュリア、桜井まい
(時間切れ引き分け)

この試合はですね、葉月選手がリングシューズじゃなくて地下足袋だったんですよ。これはちょっと「おおっ」っときましたね。マサ斎藤がAWA時代でしたかね?よく履いていたそうですが、足首が自由になっていいんだなんて話を聞いたことがあります。この選手がどういう理由で履いているのかはわかりませんが、今もう履くレスラーいませんからね。これはちょっとうれしかったですね。

 
第6試合 タッグマッチ 15分1勝負
️朱里、MIRAIvs中野たむ、白川未奈
️朱里(11分29秒 片エビ固め)白川

いやぁ~足下から鳥が立つとは言ったものですが、これはMIRAI選手ですね。これはちょっとやられました。

この選手、試合開始早々に相手に取られたリストを仰向けに寝そべって足で切り、ちがう方の腕で持ち変えて切り返してすくっと立ち上がったんですよ。これダイナマイト・キッドがたまにやっていたリストの切り返し方なんですよ。初代タイガーマスクとのデビュー戦でも見せている動きなんですが、それを実に滑らかにやりました。本当に驚きました。見てすぐできるという動きではないのはもちろん、こんな動きを知っているというのに驚きました。
 
ということでこの動き見てから釘付けになってしまいMIRAI選手しか見ていませんでしたが、この選手はそれだけじゃなかったですね。その後にグラウンドの展開でガブッたりスイッチしたりバック取ったりですね、やったんですよ。この試合より前の試合でもですね、同じような動き見せたレスラーは何人かいたんですけど、正直なところ「形」だけでやってしまっているレスラーが多かったんですよ。でもこの選手はちがいましたね。ガブリやスイッチを知ってますし、グラウンドでの重心の使い方も身に付いている動きでした。しかも滑らかなんですね。で、左利きなのか?主な打撃は左でやってましたけど右も時おり出るんですよ。もうね~この子は一体何者なんでしょうか?まったくすごい選手が潜んでいたもんです。もしヨーロッパ・スタイルとかですね、そういう方向に行ったら、これはちょっと楽しみなレスラーですよ。女子プロレス界のピート・ロバーツなんてどうですか。夢があっていいですよね。ゼヒそっちでやってほしいですね~。

 
第7試合 6人タッグマッチ 20分1勝負
️岩谷麻優、飯田沙耶、羽南vs鹿島沙希、スターライト・キッド、渡辺桃
鹿島(14分9秒 テキサス・クローバー・ホールド)羽南

この試合に関してはちょっと視点がちがいます。そう岩谷麻優選手です。実はこのレスラーを見るのだけは初めてではないのです。あれは今から約11年も前、2011年7月17日に新木場1stRINGで行われましたマスクド・スーパースターの引退試合のときでした。

あのときスターダム提供試合ということで3WAYマッチが行われたんですが、そのときデビューして間もない頃だった岩谷麻優選手が出てきたんですね。細くてあどけなくてですね、一緒に観戦していた独断さんと「いやぁ~私服だったらレスラーだなんてわからないですね」と話していたのを今でも覚えています。

あの日は最前列。今日は選手が入場してくるすぐとなりの席だったので、幸福にもあの日と同じ距離で見れました。目の前を通っていくその姿はトップレスラーのオーラと貫禄に包まれていました。立派になったなぁ。がんばってきたんだねぇ・・・と目頭を熱くしておりました。長くプロレス見ていると、こういうこともあるんですよ~。
 
さて、話はぜんぜん変わりましてスターライト・キッド選手ですが、マスクがタイガーマスクっぽいのでタイガーマスクみたいな動きするのかな?と勝手にワクワク。期待をしてしまっていたのですが、特にタイガーっぽい動きをするわけではありませんでした。そう、タイガーマスク的なものを見るとタイガーマスクみたいな動きすると思ってしまう・・・これはこの年代のプロレスファンの悪い病気です。本当、勝手にタイガーマスクを妄想、想像してしまい、どうもすいませんでした。


第8試合 6人タッグマッチ 30分1勝負
️舞華、ひめか、なつぽいvs林下詩美、上谷沙弥、レディ・C
舞華(15分50秒片エビ固め)レディ・C

これはですね、レディ・Cという選手ですね。この選手、ジャンボ堀を彷彿させるような長身なんですよ。180センチくらいはありそうなんですが、それを理解していてか?ランニング・ネックブリーカー・ドロップや河津落とし、馬場さん仕様のコブラツイスト、それに豪快チョーク・スラム。そしてトミー青山、ライオネス飛鳥と女子プロレス界で受け継がれてきたジャイアント・スイングと、とにかく使う技がダイナミック。自分というものをよく心得ていますね。これは素晴らしいと思いました。
 
ただ、恵まれた体なので迫力と威力は申し分ないんですが、残念ながら技をしているときの自分の姿がまだ見えきっていないのではないのかな?と、そんな感じがしました。ただ繰り出すのではなく、どうやれば格好よく見えるのか?決まるのか?ですね。たとえばランニング・ネックブリーカー・ドロップならインパクトの瞬間は体は寝ていた方がいいのか?もう少し起していた方がいいのか?河津落としはもう少し相手とくっついてやった方がいいのか?そのままがいいのか?ジャイアント・スイングは今の回し方で本当にいいのか?このあたりが見えてきて試合の流れに技が合ってくるようになれば、この選手はまちがいなく大化けしますよ。今回、最も興味を持ったレスラーです。期待していますよ~。
 
ということで全8試合、興味深く見せていただきました。

全体的な印象は、まず試合ですが手探りやロックアップから始まり、ヘッドロック、あるいはリストロックという流れへ行く・・・というのが多くみられたんですね。これですね、かつては女子プロレスではなかったことでしたね。やっても見様見真似の形で、手の位置がおかしかったり逆にやってたりと、ちゃんとできてないのがほとんどだったんですよ。しかしここのレスラーのは見様見真似のものではなく、ちゃんと合っていました。

特にヘッドロックですが、これが最も驚きました。ヘッドロックは左腕で決めるのはもちろんなんですが、基本左足を引いておけなければいけないんですね。この姿勢、形がですね、試合序盤はまだしも、試合途中で「とっさに出たとき」でも、ちゃんとできてたんですよ。若い選手もです。無意識でも、ちゃんと基本の形になっている。これは相当練習しているからこそですよね。心の底から感心しました。
 
技はですね、思うところがあったのはボディスラムとドロップキックですね。まずボディスラムは基本どの選手も左腕をブレーンバスターのように首に巻いてからやっていたんですね。これは全女式のボディスラムですよね。こうヘッドロックやリストロックなど、試合にはこれまでになかった女子プロレスがあったのですが、一方では伝統的な女子プロレスの動きも残っているんですね。これはうれしかったですね。
 
あとドロップキックですね。これは不思議なことに打ち方がみんな同じでした。細かなことを言うと岩谷選手と葉月選手だけちがいましたが、このふたりは同じ打ち方。あとはみんな同じ打ち方という感じです。技としては"華"があるドロップキック。この団体の選手はそれぞれ個性があるのに、なぜドロップキックに関しては同じ打ち方なのか?しかも打点がですね、みんな低めなんですよ。高さ出さないんですね。これは何か理由があるのでしょうかね?ちょっと不思議でしたね。

全体の試合としては、序盤から中盤にかけテンポアップしていくという流れがほとんどだったんですが、意外とオールドな技が多く、しかもマニアックなものが使われていることに驚かされました。それに加え、そんなに飛んだり跳ねたりもしなければ大技もひと試合でそこまで何個も出さないんですよ。現にトップロープから場外へ飛んだのもメインの試合だけだったんですね。でも試合内容は、いわゆる"地方だから"などということは一切なく、ものすごい充実していました。これは試合の組み立て、流れの作り方ががうまいということに他なりません。まったくもってポテンシャル、クオリティの高さに驚愕しました。

だからこそ思いました。やっぱりチケットは一般発売で買えるようにした方がいいですよ。固定ファンだけではあまりにもったいない。ボクのような昭和のファンで、所属レスラーをろくに知らない、試合も見たことない。団体のカラーもわからない状態で初めて観に行ったのに、こんなに楽しめたんですからね。マニアから、まったく無色な状態の人でも大丈夫なはずです。かわいい女子だらけなのに、でも、ものすごいプロレスをする。それをもっと広く知ってもらい、気軽に会場に観に来てもらった方が絶対にいいです。そうすればまた、女子プロレスの黄金時代が来るはずです。

そんな日が来ることを願っています。楽しい1日を、ありがとうございました。