必殺技を語ろう!~第九回 ネック・ハンギング・ツリー~
テーマ:必殺技を語ろう!さぁーって!!必殺技を語ろう!今回はネック・ハンギング・ツリーです。
ネック・ハンギング・ツリーは自分の手で相手の首を締めつけ、そのままリフトアップするといういわば拷問技。ハンギングは吊るす、吊り下げるという意味を持ち、絞首刑という場合にも使われるので・・・この技の意味は言わずとも伝わると思います。どうですか?まさに恐怖の技ではないですか!!
そんな恐怖のネーミングなこの技ですが、実はミステリアスな部分もあるんですね。そうなんです、この技、発祥が不明なんです。いつ頃から誰が使い出したのかわからないんですねぇ・・・いやー、興味が沸きます。
で、ちょっと推測なんかをしてみました。使い手、この技の使い手として名が挙がるのはドクターXことビッグ・ビル・ミラー、ドン・レオ・ジョナサン、ゴリラ・モンスーンなどが有名なんですがね、この3人以前というと・・・ちょっとプロレス界でネック・ハンギング・ツリーを使用された経歴が見当たらない?ようなのです。で、ですね。この3人のデビューから引退までというのが・・・
1951~1976年。ビル・ミラー
1949~1980年。ジョナサン
1959~1980年。モンスーン
となっているんですね。ここで見ると、そう時代的にはビル・ミラー、ジョナサンがモンスーンのデビューより早い上、プロレスラーとしてのデビュー時期、活動期間がほぼ一緒なんですよね。ということは、おそらくこのふたりが・・・?
ビル・ミラー
ドン・レオ・ジョナサン
前回、ここでAWA をやりましたが、ビル・ミラーとジョナサンは同時期にAWAのオハマ版を争い、幾度も戦っているんですよね。この辺、プロレス界の生態共鳴っていうのかなぁ・・・ほら、リック・フレアーとリッキー・スティムボートとジミー・スヌーカがバックハンドのチョップ、逆水平ですよね。あれを試合で3人とも使っていたのは、3人が同じ時期に抗争をしていたからというのは有名なんですよねぇ。だからきっとビル・ミラーもジョナサンも、お互い試合していく上でどちらともなく、この技をやりあって得意技にしていったんじゃないのかなぁ~・・・なんて考えるとおもしろいですよねぇ。
ではネック・ハンギング・ツリー、見てみましょうか!
アーニー・ラッド
正直、ボクはリアルタイムでのラッドは知りません。しかしアントニオ猪木以前のNWFの王者ということと、猪木に弓矢固めで敗れたということ、そしてこのネック・ハンギング・ツリーを語る上で必ず名を連ねる!ということで鮮烈に記憶に残っています。2m以上の身長と、常人よりはるかに長い手足でキメるラッドのネック・ハンギング・ツリーは毒グモの異名どおり、相手を捕食せんばかりの勢い!まさに地獄への高いたか~い♪坊やはよい子だ一生ネンネしな~状態だっ!!
坂口征二
日本人では若かりし頃の坂口が使い手として有名でした。これもリアルで見た事はないけど、長身とパワーを兼ねそろえた坂口にはぴったりの技といえそうですね!まさに世界の荒鷲が下から鷲掴みだ!!
ジャイアント馬場
往年の馬場さんしか知らないと、ええ!?っと思うかもしれないけど、日本プロレス時代の馬場さんの体つきを見ればネック・ハンギング・ツリーも納得だ。確かに腕は曲がり気味だけど馬場さんの大きな手の平と、この身長ならインパクトは十分。一説によればアーニー・ラッドにネック・ハンギング・ツリーを勧めたのも馬場さんという説もある。ともあれ!何度も言っているが、やっぱり馬場さんがやるから意味があるのだ。これぞプロレス界の
好いた水仙、好かれた柳
うーん、茶がうまい♪
ハルク・ホーガン
ホーガンといえば、アメリカの・・・的な印象が今では思い浮かぶイメージだが、新日本に登場初期は器用さはまだなくて、典型的なパワーファイターだったよね。そんな頃はベア・ハッグやバックグリーカー、そしてこのネック・ハンギング・ツリーをよく使っていた。長身で怪力のホーガンが使うとそれはインパクトがあったものだ。近代のアメリカンプロレスのパワーファイターのイメージを変えたホーガンだけど、原点はやはりここなんだなぁ~。そういえばロッキー3でスタローンにもこの技、確か使ってたよね。
ニコリ・ボルコフ
ボルコフってベアハッグとこれくらいしかなくて・・・その当時、それまではなんとも思わなかったんだけど、これをリアルタイムで見てからは見る目が変わりましたね!ドギモでしたよ!!ジャンボを片手でだよ!?すごいよこれー!!まさにパワーのメリークリスマス!!筋肉という名のイルミネーションが奏でるバーニング・ツリーだっ!!
かつてプロレスにはレスラーのタイプというのが明確にあった。正統派、テクニシャン、ヒール、技巧派、ファイター、そしてパワーファイター・・・
団体の垣根がなくなってしまった今のプロレスだが、なくなってしまったのは垣根だけではないんじゃないかな・・・とボクは思う。今は団体がハンパなく増え、レスラーが小型化した。興行条件を考えれば、その分、試合でなんでもやらざるをえなくなってしまったせいか・・・いろいろこなすようになってしまったため、そんなレスラーのタイプもハッキリしなくなってしまったように思えるんだ。
人気のない技、華がない技、ファンが見ても盛り上がらない技・・・しかしそんな技でも、やるレスラーがやればちがって見えた。そうさ、普通の人よりも、同じレスラーから見ても、巨大で見上げるような大男がやるからネック・ハンギング・ツリーだったんだ。いくらプロレス界きってのテクニシャンがやったって、これは巨大なレスラーにはかなわなかったはずだ。君もそう思うかい?だったらこの技をちっちゃくて力のないヤツがやってみたところでどうなんだい?相手に跳び上がってもらって成り立つようなビジョンは、おれはゴメンだぜ!!