プロレス研究所~バックドロップの謎・・・その2~ | 団塊Jrのプロレスファン列伝

プロレス研究所~バックドロップの謎・・・その2~

さあ、というわけでバックドロップの謎、その2です。


前回は、なぜプロレスの試合でレスラーの放つバックドロップは、みな投げる相手の左の脇の下に頭を入れるの?という疑問を投げかけました。で、今回は解明すべく・・・少々プロレスから離れた視点のお話を交えて、してみたいと思います。


さて・・・プロレスしかり、格闘技には基本になる“構え”があります。


K-1やボクシングなどを見ていればわかると思いますが、打撃系の格闘技は利き手・利き足を引き、半身になった状態が基本構えになります。右利きなら右足を半歩ほど後ろに引き、左を前にしての半身がオーソドックス・スタイルです(※中国拳法など、打撃系でも利き手が前になるものもあります)


一方、組み系の格闘技は逆に利き手・利き足を前に出した半身、右利きなら右手・右足を前に出した形がオーソドックス・スタイルになります。


世の中には右利きが多いのはご存知のとおりです。利き腕、利き足を前に出す組み系格闘技の構えは、これと相成って必然的に右半身になった構えが多くなり、技も当然右の技が多いということになります。


ということは、受ける技も当然右のが多いということになります。


そこで、次の画像です。


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画像は井上康生さんの内股という技です。これは右の内股なので、まさに相手は右の技を受けている形になります。この他にも払い腰、体落としなど、右の技を受ける場合にはこのように自分から見て相手が左側にくるのです。つまり右利きの多い世の中、右半身の構え、右の技と・・・このように組み技系の格闘技は構えの性質上、この体勢が非常に多いということになります。


次に、返し技のお話をします。


返し技というのは文字通り相手の技を返すというものです。といっても・・・返し技といっても競技や体勢、相手の技によっていろいろありますが、組み系の格闘技を経験していない人でも返し技といえば“裏投げ”を連想する方は多いのではないでしょうか?


裏投げはサンボや柔道で使われる技です。用途としては相手の技を返すというのが主です。先に出ました井上康生さんの内股の画像のように内股や払い腰にきた相手をそのまま後ろに返すという技です。試合ではもちろん動きの中で繰り出されるのでいつもきれいな体勢で・・・とはいきませんが、形としては相手を抱え、へそに乗せて倒すところからバックドロップに似ていますね。一説によればこの裏投げがバックドロップの原型、なんて解釈もあるくらいなのです。


って、今なんと!?


そうなんです。というわけで今までの話をまとめてみますよ。


まず組み系格闘技は右半身の構えが多い。


得てして技も右が多い。


だから受け側は自分から見て相手が左側にくることが多い。


そしてそれを返せば?バックドロップのような投げ・・・


ということは!?


簡潔に言いますと、右の技がきて、それをバックドロップのように返せば・・・投げる方の頭はどっち?


そうです。相手の右脇の下に頭を入れての・・・っていう形になりませんか!?


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平成元年に猪木と対戦した柔道のショータ・チョチョシビリの裏投げは、まさに!!


ボクはわずかながら柔道、レスリングの経験があります。先程も述べたとおり、柔道やレスリングのグレコローマン・スタイルの試合のときは構えの特性上、右の技を受けることが圧倒的に多くなります。


この体勢ですと、裏投げに行かなくとも瞬間的に“受け”つまり相手の技をこらえる、という行為が必然になります。


だから裏投げやバックドロップをやろうとしなくとも、長い間の習慣から条件反射で相手の右脇の下に頭を入れたような形の“受け”・・・を経験することが非常に多くなるんです。


つまり、そういった経験や条件反射の中で身に付いた習性上、柔道やサンボ、レスリング出身者にバックドロップをやって、と頼んだとしたら、無意識でチョチョシビリの形の方をやる人が多いのではないかと・・・


この理論をプロレスにも当てはめたとしたなら・・・


プロレスの構えに対応した形での動きや技に、レスラーが条件反射に相手の左脇の下に頭を入れてのバックドロップをやる、やってしまう、そういうふうになってしまう理由が存在するのではないのか?


という考えが当てはめられるとは・・・思えないでしょうか?


というわけで次回は、いよいよ確信に迫ります。