必殺技を語ろう!第一回 ~バックドロップ~
ゴング早々、ヘッドロックに来た蝶野にいきなり見舞ったんですよねぇ~。あれを見てて度肝を抜かれたファンは果たして日本に何人いたことか・・・
試合開始直後、解説の小鉄さんの
「構えはかわらないですね」
の言葉にもしびれました。いやはや鉄人です!!
アントニオ猪木 その1
大型外人との対戦、大物日本人対決、異種格闘技戦と、幾多の名勝負の核となった猪木のバックドロップは繰り出されるタイミングも絶妙。欠かせないものでした。画像は新日道場にも大パネルであった(今はどうなんだかわからないですけど)大木金太郎戦でのフィニッシュの一撃。見事な一発です!!
アントニオ猪木 その2
そしてそんな猪木の最高にしてすごいバックドロップ!これじゃないですかねぇ?
いろいろな選手との対戦で見せ場を作ってきた猪木のバックドロップですが、ボクは昭和50年10月、蔵前で行われたNWF戦でルー・テーズと対戦したときに本家テーズに猪木が決めたこの一撃こそ猪木最高のバックドロップだったんじゃないかなぁーと・・・思うんですよね。どうですかこれ!!見事ですよね!!
何がすごいのかって、テーズにバックドロップしちゃうというのがやっぱすごい。これは普通おそれ多くてできないよね。でもやっちゃうんですよ。この辺が猪木のすごいところだと思いますね。
ジャンボ鶴田 その1
さてジャンボ鶴田です。
ジャンボのバックドロップ。プロレスファンの印象で鶴田のバックドロップといわれ一番最初に頭に思い浮かぶのはやはり画像のニック・ボックウインクルとのAWA世界戦でのバックドロップ・ホールドじゃないですかね?
ねー、ニックを見てくださいよ!この軌道、ほぼジャーマン・スープレックス・ホールドですよね!!すごい!!
ジャンボ鶴田 その2
しかしボク的には小学校の頃に見てどうしても忘れられないのがこちらの一番。83年のジャイアント・シリーズに来日したワンマン・ギャングとの試合で放ったこのバックドロップです。
身長205センチ、体重190キロという超大型のギャングをクラッチし、完全にバックドロップで投げきったんですね。どうですか~?すごいですよね~!!
ジャンボ鶴田 その3
そして、さらにすごいと思ったのが、この87年のインターナショナル選手権のバックドロップでした。
この当時、ブッチャーと同じくらいの体重のレスラーはたくさんいました。しかし投げるということでいえば、こんな丸みを帯びた掴みどころがない体型ほどやりずらいものはないんですね。上背がないブッチャーは知ってのとおり超アンコ型。ただでさえ脂肪部分が厚く軟らかく掴み所がない体です。しかも重心が低いときています。これだけでも十分投げづらいのに、ブッチャー自体が試合で相手の投げを安易に受けるタイプではありませんでした。そんなブッチャーをバックドロップでこうも完全に投げたレスラーは、ちょっといないと思います。
通常のレスラー体型はもちろん、ギャングのような超大型でもブッチャーのような丸々とした体型でも・・・相手を選ばず完全に投げきることが出来た鶴田のバックドロップこそプロレスの流儀とテーズ流を受け継ぎ、超えんとしていたのではないかな?ボクはそんな気がします。
後藤達俊
猪木、鶴田以降はヘソ投げを継承しフィニッシュとするレスラーはしばらく皆無と思われましたが、若手時代より素晴らしいブリッジの高角度バックドロップを得意技とし、威力という点では猪木、鶴田に劣らない名手がいました。そう、ご存知ミスターバックドロップこと後藤達俊です!
クラッチを外すことなく最後までブリッジし、真っ逆さまに落とす・・・いやー見ているだけで戦慄を感じさせるバックドロップですが、まさに文字通りの戦慄は今でもファンの間で語り草の90年6月12日、福岡国際センターでの8人タッグで馳浩を心臓停止に追い込んだ高角度バックドロップではなかったでしょうか?そうです、実はこの画像がまさにそれなんです!!
まさしく、プロレスとは紙一重とみつけたり、ですね・・・
川田利明
見るたびに危険さを増していきドキっとさせられた垂直落下のバックドロップといえば四天王プロレス時代の川田利明のバックドロップ。改めてみると、なんだこれは!!という角度にびっくりです。
あの頃は、こんな技が決まるたび、もうだめだー!いやカウント2.8で返した!!また出た!今度はダメだろー!!うぉぉーまたカウント2.9で返した!!なんていう攻防にファンは酔いしれ釘付けにされたものでした。
しかし・・・四天王プロレスがファンに提供しものの代償はレスラーにとってあまりにも酷なものだったことを忘れてはなりません。暴露本の乱発でロクにプロレスを知らない人までが裏を軽く言うようになった今の時代ですが、レスラーはいつも命がけだったということを忘れてはいけないと強く思います。
スティーブ・ウイリアムス
全日時代から殺人バックドロップと呼ばれていたスティーブ・ウイリアムスのそれも抜群の技でしたが・・・実はウイリアムス、日本登場当時の初期の新日マットではヘソ投げでなく、後で紹介します相手の足を持っての抱え式でした。しかもジャンプしながらパワーで投げていて・・・猪木、藤波はだいぶ苦しめられたんですよねー。
そんなウイリアムスがヘソ、いや引っこ抜きというべきかな?あのバックドロップで投げるようになったのは新日にレッドブル軍団が登場した頃だったんじゃないでしょうか?
画像は89格闘衛星東京ドームでのサルマン・ハシミコフ戦ですが、このバックドロップは大きな弧を描き最後まで反りきっていました。まさに後の殺人バックドロップが産声を上げた瞬間だったとボクは思っています。
さぁ次はこちら
ひねりを加えたバックドロップ
いってみましょう。
マサ斎藤
ひねりを加えたバックドロップといえばマサ斎藤ですね!!
その独特の投げ方からアメリカではサイトー・スープレックスと呼ばれていたほどマサ斎藤の代名詞。この画像のバックドロップはどうですか!!完全に胸に乗せて投げています。そのスピード、落差は見事です。東京五輪のレスリング日本代表、さすがです!!
長州力
そのマサ斎藤を心の師と仰ぐ長州力のバックドロップも豪快なひねりで、いくつもの名勝負には必ず繰り出される長州の代名詞技でした。
名勝負数え歌で藤波とやり合っていた頃の長州のバックドロップは、持ち上げて2、3歩くらいちょこちょこっと前に歩いて後に落とす感じでした。だから・・・当時それを一緒にテレビで見ていたウチのばあちゃんと母親は長州のバックドロップが出るたびに
「おー、じんだし(地団駄のことです)踏んだ!!これが出っと、はりこんでんだ(張り切っているんだ、の意)」
と盛り上がったものでした。ちなみに父親は長州のバックドロップが出ると
「お、長州の16番が出たな!」
といつも言っていました。よく一番の得意技を18番というじゃないですか?多分、その手前の得意技っていうことで16番だったんでしょうねぇ~。
ってぜんぜんバックドロップの話じゃないですね、すんません・・・
高田延彦
ブリッジワークの効いた各スープレックスはキック、サブミッションと並びUWFの真骨頂でしたが高田延彦のバックドロップはひねりを加えたものでした。
ジュニア時代から数々の試合で見られたこのバックドロップはダメージを与えるのはもちろん、勝負の流れを変えたりするのによく使われました。そして同じひねりでも斎藤、長州とちがい高田のそれは弧の描き方が大きかったので見た目も威力も素晴らしいものだったと思います。
画像はあの95年10月の新日本vsUインター、武藤戦での一撃です!!
お次は
抱え式バックドロップ
です。
バーン・ガニア
AWAの帝王バーン・ガニアの抱え式です。通常の抱え式は相手の膝の裏を抱えますがガニアは股から抱えていますね。しかも・・・ボクは実際のを見たことはないのですが、ガニアの抱え式はこの状態から少し旋回しながら投げたとか。抱え式といってもオリジナリティーがあったんですね。ちなみに投げられてるのはビル・ロビンソンです。
ドリーファンク・ジュニア
ドリーは試合もうまいしプロレスラーとしては超一流の部類に入る名レスラーなんですが・・・なぜか?反り技はイマイチだった印象があります。若かりし頃はテキサスブロンコ・スープレックスことダブルアーム・スープレックスがフィニッシュのひとつでしたが、ロビンソンや猪木のようなブリッジは効せない、上げて落とすという投げ方でした。得てしてバックドロップもそうでした。
ドリーほどの技巧者がなぜだったんだろう?ボクとしてはそのあたりが中学時代から疑問だったのですが、そんな当時に猪木の血戦十番勝負というビデオを買って昭和45年の夏に福岡でやった猪木とドリーのNWA戦での1本目のフィニッシュ直前に放ったドリーのバックドロップを見て疑問も晴れました。すごいと思いましたね。やはり技は使う人が使いやすいやり方、使い手次第なんだろうなと、しみじみ感じた次第でした。
スタン・ハンセン
ハンセンは試合でも抱え式を使ってはいましたが、バックドロップをフィニッシュとしたのは85年7月の福岡スポーツセンターでの馬場さんとの最後のPWF選手権だけじゃなかったでしょうか?
エプロンからロープを跨いで持ち上げ、そのまま後ろ向きにドドドドーッと後ずさりしてリング中央まで行ってから落としたハンセンの馬力ならではの滞空時間の長いバックドロップでした。
ビッグバン・ベイダー
けして名手ではありませんでしたが、あの受身のうまい藤波を長期欠場に追い込んだベイダーのバックドロップ・・・画像はまさにそのときのものなんですが、これはひどい!!バックドロップじゃなくて、まるで転落事故ですね・・・
藤波はこれで怪我をしてしまいましたが、まだ腰でよかったのかもしれません。これが首にきていたらと思うと空寒いです・・・
坂口征二
これはめったに出なかったけどすごかったなぁ・・・
坂口の場合は抱え式というより手のひらで膝裏を上げる感じでした。なぜかっていうと、この体勢で持ち上げると必ずアトミック・ドロップだったからなんですよね。
でも!!稀にそのまま後ろにいったときにはドギモを抜かれたもんでした。こう何気なしに坂口の試合を見てるじゃないですか?で、あーアトミック・ドロップかな?なんて余裕かまして見てたらいきなりそのまま後ろに放り投げるんですよ!!あの坂口の長身から急転直下で繰り出されたなら、下手なヘソ投げ式よりも高角度です!!
中でも85年のIWGPタッグリーグ戦でのブロディ・スヌーカとの試合で猪木がブロディに、坂口がスヌーカに同時に放ったバックドロップの競演は驚きましたねぇ~。さすが黄金コンビてです!!
ジャイアント馬場
これはもう威力や方式がどうこうという問題じゃないんですよ。馬場さんがバックドロップをやるということに意味があるんです。
目に青葉 山ホトトギス 初鰹
ならぬ
投げる馬場 受けたるレイス ジョー樋口
王道です。
その他のバックドロップ
ジャンボ鶴田
こちらも先に紹介した鶴田がギャングを投げている関連画像ですが・・・これはどうでしょう!?なんと頭を相手の脇の下に入れず投げているんです。つまりジャーマン気味のバックドロップなんですね。
手もクラッチできたしジャーマン気味に投げることができたということは、本気でやれば鶴田はきっとギャングにジャーマン・スープレックス・ホールドを仕掛けるのも可能だったと思います。ジャンボ鶴田、まさに怪物にして天才です!!
天龍源一郎
これはニー・クラッシャーの状態で持ち上げて、そのまま後ろに落とすというバックドロップで、あのハリー・レイスがよく見せたものなんですよね。で、そのままゆっくりバックドロップ・ホールドのように倒れこんでフォールするという、レイスならではの雄大な技だったんですよ。
だから本当は天龍じゃなくて元祖のレイスの画像を載せたかったんだけど・・・どうしても見つからないのでこれにしました。
ま、わかりますように全日本ならではの技と、言っていいでしょうね(山田隆風)
アブドーラ・ザ・ブッチャー
意外と知る人が少ないアブドーラ・ザ・ブッチャーのオリジナル、山嵐バックドロップです。
ちょっとブロックバスター気味に担ぎ上げ、長い滞空時間を置き、まさに巨木が倒れるがごとく投げる。この技を普通の選手がやっても面白みに欠けてしまうと思いますが、持ち上げてからインパクトの瞬間まで、ブッチャーがやると迫力があり、技の説得力があふれんばかりで実に素晴らしいです。いいですね~。
テリー・ゴディ
若き日にコーチを受けたということで、実はテーズ直伝になるんですが・・・ゴディのバックドロップはどうなんだろう?ヘソ投げ風に持ち上げるんだけど、そのあと全体的にバラつく気がします。が、一応ご紹介しておきます。
藤波辰巳
一見何もなさそうですが・・・藤波のバックドロップ。実はこれは分類が難しいですね。
ヘソ投げとも取れないし、ひねりを加えたのでもない・・・もちろん抱え式でもない。言ってみればヘソ投げのように持ち上げるがブリッジはせず、抱え式のように落とすという感じ?かな?
なんてのかな?一見するとバックドロップというよりバックバスターという感じで、正直見た目はよくないし、効果はどうなのかな?という気持ちにもなる瞬間があります。しかし意外なことに藤波は歴史の節々にこのバックドロップでダイナマイト・キッドや長州力、エル・カネックやドス・カラスなどの有名どころからフォール勝ちを奪っているんですね。実は本来のバックドロップとはちがう、何か効果がある技だったのかもしれませんね。
さぁ必殺技を語ろう!バックドロップいかがでしたでしょうか?あなたの心にはどんなバックドロップが蘇りましたか?
次回もお楽しみに!!