旅行先の温泉宿。

風呂に行く前に缶ビール一杯。


一回目はグラスを傾けずに泡立たせる。
泡が落ち着いたところで、もう一回注ぐ。
すると泡がクリーミーになる。

 

だいぶ年下の後輩がノートに書いた小技を得意げになって話す。
もちろん、これはこの前知ったやつなんだけどねー、とネタ元もばらす。

 

へぇーほんとだ!と笑う妻。

 

でもその彼女が考えていたのは別の男のことだった。

僕のいないところで、その男にメールを送り、来ない返信を待っていた。

 

そんなパラレルワールドを知ったのは、ずっとあとの話。