親指のない男。 | マシコブログ。

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感じた事。発見。出会いなどの個人日記。
~感じたことを、感じたままに。~

ヤギの鈴の音で、目が覚める。

九月下旬、
ギリシャに入って6日目のことだ。


ビザの期限が迫っているため、
10日で通過しなければいけない。

しかし、内陸は山だらけで思うように進まない。
コリントス湾に出て、港町パトラスに着いた時には
もう、日が暮れ始めていた。

もう、どうしようもないので
船便でアルバニアに抜けることにした。


チケットを買い、
公園でバナナを食べていると、
何もしていない自転車の後輪タイヤがパンクした。


謎だ。。。。。



パンク修理のついでにギアの調節をしていると、
「もっと、少しずつ調節するんだ。」
と、小汚いが優しそうなオッサンが近づいてきた。

オッサンのアドバイスは的確で、
あれやこれやと色々、いじっていると、



「ブチッ」とワイヤ・が切れた。。。。



いよいよ、
オッサンが本格的に手伝いだしてきて、気がついた。


親指がない。


しかし、

世界は広いんだ、

そんなことは良くある。。。。。いや、ない。



とにかく、
オッサンと二人で解体開始。

ワイワイと楽しく話しているが、
日もすっかり暮れて、公園の街灯が灯り始め
だんだんと肌寒くなってきた。

会話の中でアルバニア行きのことを話すと、
目つきが変わり、
「俺はイタリアに行きたいんだ。」と、主張してきた。
聞き流しながら、
「そんな事、言わなくてもちょっとは出すよ。」
と思いながら、作業を進めた。


30分くらいの
自転車修理が完了すると、
物乞いの目をして金を請求された。



一気に善意の眼差しが変わった。



なぜだ。。。。。


身なりは少し小汚いが、
そんなオッサンではなかったはずだ。。。。



悲しいオッサンだ。と、

仕方なく財布を取り出すと
奪われ、50ユ・ロを手品みたいに消して見せた。


あまりの早業に拍手したかったが、
流石に取り過ぎだろ!!

疲れていて、喧嘩する気になれず、
ゴチャゴチャ言っていると、

マイフレンド!!と、
キスされ、余計に腹が立った。



が、諦めた。



悲しいオッサンだが、自分も悲しくなった。



夜行の船便でパレルモを離れる際に
何度も何度も考えさせられた。



彼が親指を失っていた事ではなく、

なぜか、
彼の善意の眼差しだけが、心に引っかかったままだ。






そう、
今日はそんな悲しいお話を。



ああ、悲しくなってきたので、
ホステルのパスタパ・ティ・に行こうと思います。....IN ROME