苗床は朽ちました
蕾はもう成りません
あなたに手渡すのは
乾き砕ける終わりの花だけ


あなたにたくさんの花をあげました


黄色


喜ぶあなたの顔が嬉しくて
わたしは蕾からたくさんの花を大事に育てては
あなたに捧げました


他の色が欲しいと聞けば
わたしは寝る間も惜しみました
そしてまたあなたは
とても喜んでくれました


何輪ほど
何束ほど


あなたに花を手渡したでしょう


やがてあなたは
花が絶えることをひどく恐れるようになりました


わたしはたくさん育てました


でも
そのころにはあなたはもう
渡しても渡しても満足してくれなくなりました


苗床は枯れました
蕾はもう成りません
あなたに手渡すのは
乾き砕ける終わりの花だけ


貧弱な花しか咲かせられなくなったわたしを


あなたは責めました


花が足りない花が足りないと
怒りました


わたしは


何輪の
何束の花を


あなたに手渡したでしょう


もう手渡すことを諦めようと思います


あなたはわたしが憎いと言いました
あなたの求める花を差し出せないわたしが憎いと言いました


あなたの怒鳴り声にかくれた心を
わたしは知っています
愛してほしい愛してちょうだいと
でもわたしはとても疲れてしまって
花をもう咲かせられそうにありません
きっとあなたはあなたのことしか
愛せないのでしょう


苗床は枯れました
蕾はもう成りません
あなたに手渡すのは
乾き砕ける終わりの花だけ