花束/木村 紅美

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あの娘たちは、いま何をしているのだろう――大学受験の失敗から、東京郊外の女子寮に集った22人の女の子。同じ目標に向かっているのに、来春は、みんな別々の世界へと散っていく。騒がしくも、はかない浪人時代の1年をめぐる、彼女たちの青春小説!
(Amazon内容紹介より)

予備校の女子寮…女子高とも違う、特殊な空間かもしれません。
わたしも経験したから、この小説が描き出している空気がとても身近に感じられる。懐かしくも遠くぼんやりとした記憶。

ほんとうに、あの娘たちはどうしていることだろう。
それでも大学進学後2年くらいはよく連絡を取り合っていたし、その後も舞台公演の案内をおくったり、テレビに出てるのを見つけて連絡をくれたりしていたけれど、最近また遠のいてしまったなぁ。

女子特有の人間関係の結びつきや感傷や、身勝手さ。
春夏秋冬、それぞれの章の主人公たちがみな、クセはあるけれど特別ってわけじゃなく、ある典型のリアリティをもっている。
最初に仲良くなったグループがだんだん解体していく様や、寮ならではの連帯感、実家・地元を離れた開放感と「受験生」という重苦しさの葛藤。
小さくて狭くて未熟だけど、あそこには「社会」があったんだなぁ。
東京郊外とはいえ、はじめての都会で参加した「社会」
なんて未熟だったことだろう、と。今だってなにがどう成長しているというわけではないけど。
ひたすらな、感傷。

エピローグがまた、いいのだ。
読み進めながら、若い彼女たちをときには近く感じながらも、そこは10数年も前のこと。遠い感傷的な気持ちになっていたところに、彼女たちを見守り続けた寮母さんのお話で締めてくれる。
感傷に浸ってばかりはいられない。
彼女たちがそれぞれの道をゆくように、わたしもまた歩いていく。
日々はそうやって流れていくのだ。