日曜日見たばかりのあの背中が、その日も同じ形で謙介の眼に入ってきた。
「真由。」
二日前には言えなかった何気ないその言葉が、先週よりはまま小さめに真由の耳には聞こえた。
「あ、おはよ。そろそろテストでしょ。勉強してる?」
「ああ、してるよ。前期はそんなに大変じゃないけど。」
真由は何も知らない。最近の謙介の頭の中はなぜだか真由で埋め尽くされることが多い。
昔を思い出しているのかもしれない。
真由は自分のことをどう思っているのだろうか。
「そう、いいな。理系は大変なんだぞ。」
いくつかも動きをした真由の唇をみながらも、その言葉は謙介の耳の中を流れて行ったにすぎなかった。
心の微妙な揺れが、久々の火曜日を楽しめなかった。