なんだか色んなスポーツの代表チームに「〇〇ジャパン」が付けられている。
〇〇のところには、日本語が当てはめられていて、そして「ジャパン」が続く。一体、国内外のどちらに普及させたい名称なのかイマイチ分からない。

で、俺が書くことはスポーツとは関係なく、それでも国全体を指して
『シニアジャパン』
と名付けたい。

”シニア” と付けるのは、何もジョークのネタと言うことでもなければ、日本だけというわけでもなく、ヨーロッパの多くの国々も同様のことだと思う。

その経緯について。

俺が暮らすカナダ西海岸の経済成長や人口増加は著しく、この20年で大きく大きく様変わりした。

移住当時に$8台だった最低賃金(時給)は、今や$15台。約2倍である。
州規模だけで100万人以上の人口増加。
街を走る車はポンコツばかりだったのが、今じゃ高級車ばかり。

移民政策、難民救済にも積極的なので、様々な言語や風貌の人々が混ざって暮らしている。

まだまだ開発できる土地があるので、「田舎町」と数年前には思っていたところにはアレヨアレヨという間に高層ビルが立ち並び、と同時に色んなビジネスや産業が生まれている。

俺は決して日本は小さな国とは思わないけれど、いかんせん山間部が国土の大半を占め、そうなると限られた平地の人口密度は必然的に高くなる。
「こっちの開発が終わったから、次はこっち」
という、カナダのようなわけにも行かず、老朽化した建物を取り壊し、同じ場所で建て直し、というのが、特に都市部では当たり前のようになっているのでは。

戦後の焼け野原から、高度経済成長期、そしてその後のバブル経済まで日本の国力はググーーンと伸びてきた。
成長期を経て、ピークに達し、少しの安定期を過ごした後、緩やかに衰えていくのは極めて自然なこと。

ただ、国は滅亡するわけではないので(自滅や災害・侵略を除いて)、「時代は繰り返す」ということは、程度の差こそあれ長い目で見たら起こっても不思議じゃない。ただ、それは100年、1000年単位とかになるだろう。

で、ずっと俺は外から冷静に日本を見ていて、
「美しいねぇ〜」
とか
「かっこいいよねぇ〜」
と若い頃にチヤホヤされていた人が、年輪を重ねてナチュラルに劣化することを許せず、そして抵抗し、
「まだまだいける!」
と、もがいている人のように映るのだ。

とりわけ、当地のように、実際に勢いがあり、お金と人が集まるところから見ていると(それは今回のパンデミックがあったとしても)、日本の経済力や国力が顕著にスローダウンしていることは明確に分かってしまう。

それによって困る人は確かにいると思うんだけれど、悪いことでは決してない。
わかりやすく表現するなら、藤井風さんが歌うように(最近知ったよ)

強がりも もうええよ

であり

わたし 満たされてる

ことに気づき、受け入れて

わたし 期待せずに歩く

ことに”今は”徹しても良いのではないでしょうか?

いつ何時も、世界の中でトップ経済大国であり続ける必要はないし、それにしがみつく必要もない。
アフリカやアジア諸国、中南米の成長を意識しすぎる必要もない。


俺は学生の頃、友人たちと一緒に「デニムを育てる」ということに夢中になったことがあって、ひょんなことから近頃 ”デニム熱” が自分の中で再燃している。

そこで分かったのが、『ジャパニーズデニム』と呼ばれる、日本製の丁寧に作り上げられたデニムが、北米やヨーロッパ、アジアでも、かなりの高評価を得ているということ。価格も相当なもんなんだけれど、それでも需要がある。

デニム産業は、産業の一部の、繊維業の、そのまた一部でしかない。

けれども、こういう『シニアジャパン』が手掛ける丁寧なモノづくり、心くばりが、色んな分野で小規模ながら展開されること。
言ったら、若く、勢い余って大雑把になりがちな経済活動のギャップを、成熟した立場から、そこに気付いて埋めていく。

それが、これからの日本経済では重要になっていくような気がしてならない。

そんなわけで、最近知った 藤井風 さんの歌詞と共にお届けましました。