・記憶の抽斗【ひきだし】に付いた鍵を開けるのに
夕景が必要かも知れないと・
盆も終わった八月
今年にしては涼しい今日の天気に
秋の訪れを感じて
今日の夕景は
何処かでみた夕景と
こころの抽斗の鍵が合えば
忘れてはいない仕舞い込んだ何かを
思い出せるかも知れない
今日金曜日眼圧を下げる目薬を処方してもらいに
眼科に通院して
「みるって漢字は沢山あるじゃないですか
結局みるって何だろう?」と
診察と関係無い事を話す
・歩道橋からみた夕景をみて思い出していた・
(空は澄んで雲もなく
あまり晴れていたから夕空は
あまり焼けていなかった)
遠い日曜日
港の突堤【とってい】の先にある小さな灯台の近くで
(あの灯台も大きく見えたっけ)
釣りをしている父を
夕飯の支度ができるので呼んできなさいと母が
四歳のころ
陽が沈むのが遅く
夕飯の支度の時間でも
外がまだ明るい季節
海をみていなくても
夕景をみれば
海を思い返せるなんて
やせ我慢だろうか
「雨降りお月さん」を口ずさみながら夕飯の支度をしていた母が
夕飯の支度ができたので呼んできなさいと母が
五十年前のこと
あの頃の父の歳くらいに今私はなっている
この秋に私は五十五歳になる
まだその頃の父よりもう少し若いか
それから二年しない内に
父は風呂上がりに深酒して
眠くなったので寝ると云って
母に布団を敷かせ
眠りに就いたあと
脳溢血で亡くなった
死というものが私にはわからず
しかも突然の訪れると
母も突然亡くなるかと
数年間不安だったのに
母にたずねることもできず
話が長くなるか……
自然の成り行き
無為自然【むいしぜん】?運命自然【うんめいしぜん】?忘れた
釣りをしている父の背中
「もう少し釣りをしている」と父は云ったか
それとも一緒にうちに帰ったか
忙しい平日と違って父は何を思っていただろうか
日曜日は父にかまってもらえて長く感じた
そして夕飯の前に何を釣るでもなく父は釣りをしていた
細い突堤は幅広く思えた
幼い私に「気をつけなよ」と誰か話しかけたかも知れない
うちに帰る階段はもっと長く高く感じた
海の匂いを思い返していた
近畿に比べたら
関東は陽が沈むのが早いなあ
ホンの十五分くらいだけなのに
・花火・
土曜日のおひる
花火の試し打ちを
野鳥を追い払う空砲と勘違いした
数年前から畑なんて
園芸店が敷地内の畑で花の苗を育てているだけなのに
昨日のことを回想しながら
テレビジョンなんかつけながら
夜まで部屋で時間を過ごしていた
たそがれに
町内の花火大会を途中から気付いて
金土とこころの中に残された
父を手繰り寄せてたから
花火に父を投影【とうえい】して
しばらく空に還すことに
金曜日の西の空
あまり焼けなかって
少しばかしがっかり
その加減で自分が幼かったころの
父を思い出したけど
土曜日の夕空は
よく焼けていたらしい
花火の煙を消してくれる
風もちょうど良かったし
2018-08-17〜18 @yoshifumi_
(以下の蛇足【だそく】も読んでね)
・Bootstrap(ブートストラップ)とは
昔話で「ほらふき男爵」が
沼に落ちてどうやって抜け出したかについて
『(自分の)ブーツの紐を手繰【たぐ】って抜け出したのさ』と云うことから・
・Bootstrap code【バードストラップ・コード】とはコンピュータを起動させるために最初に実行される短いプログラム
・夕景をみて再起動だ(笑)
また歩いて行ける
・私は妻を看取るまで生きたい
妻の次に妻を一番知るものとして生きていたい
妻のことを書き記すのは無理そう
どこまで書き記せるかわからないけれど
妻を愛していた夫が居たことを書き記そう
夕陽が沈んで
たそがれになってしまう前に
「手をつなごう」と
おかゆの病院食を食べている
あなたに云えなかった
2018-08-25(2018-08-3) @yoshifumi_
ちょっとねちっこくつなぎ過ぎたか?
