「雨月物語」
監督 溝口健二
製作 永田雅一
音楽 早坂文雄
撮影 宮川一夫
編集 宮田味津三
製作会社大映京都撮影所
配給大映
公開 1953年3月26日
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京マチ子ってすごいわ。
出て来てニッて笑っただけで、役を語っちゃう存在感。
これでもかと出し切る演技。
舞台出身だからというのもあるのかな。
しかしこの肉感がまたいい。今の宝塚出身女優にはこれはできない。
撮影は「羅生門」の宮川一夫だけど、
なるほどこの持ったりとした煙のようなグレーが本来の真骨頂なのかな。
「羅生門」の露出は実験的とのことだけど。どちらも素晴らしいね。
一時停止でどこ止めても絵になる。
音楽で、鉄琴がキラーーンと鳴るのも羅生門で印象的だったところ。
ストーリーは上田秋成のそのものではないのだね、何篇かの合作。
これは脚本の方を見ると本を書いていて納得。
脚本ありきで、役者がよく役割を全うしていて、の成功だね。
現代の映画だったら最後、子も殺されてたり餓死してるんじゃないかと思うけど、
やはり大衆に愛される映画が大事だったり、原作に子が出てこないというのもあり
ちゃんと子は生きてる。
男の欲と弱さから奇怪ファンタジーを通して、
最後生活とヒューマニズムへと、希望を見出して落としているので、
切ない中にも救いがあるね。